The end of the story 【ツイステ】
第3章 penaltyコンビ
私もエースと同じこと思ったけどね。バケモノが大釜で足止めされているうちにバケモノの横を通って炭鉱から出ると無理矢理バケモノが力任せに大釜を退かす音と耳鳴りがしそうなくらいの雄叫びが背後から聞こえてきて、流石に顔が引き攣った。
あの重さの重しを力任せで……?
一気に重しを押しのけたバケモノが先程までとは比べ物にならない速さで追いかけて来る。あの巨体で出るとは思えないスピードだ。
「嘘だろ!?あれだけの重しを退かして追いかけて来るとか!?」
「とにかく、走れ!!早くしないと追いつかれるぞっ!!」
「は、はっ……う……っ」
引き離せていたと思った距離もあっという間に距離が詰められる。このままじゃ本当に追いつかれてしまう。
「グリム、これ……持ってて!」
「なっ!?これ、魔法石じゃねーか!オレ様に渡すってオマエ一体何するつもりなんだゾ!?」
「そんなの当たり前じゃん。
……私がアイツの気を引いているうちに…エースたちに鏡の場所まで、行って欲しい」
息切れしながら言った私の言葉はきっと聞き取りづらかっただろう。それでもグリムには伝わった。
ぎょっとした目でこちらを見ていた。
先頭を走っていたエースが速度を落として私たちに近づいてきた。
「おい、お前さ。一体、何しでかす気?嫌な予感なんだけど」
「……私が囮になる。だからエースくんたちは学園に戻ってて」
エースは未知の生物を見るような変な目で私をじっと見つめていた。でも、魔法の使えない私がここで足手まといになるよりずっといい。
「は?何言ってんの?……会ったときから思ってたんだけどさ。そのお前の自己犠牲の精神一体なんなの?…でも…今は追求しないでおく。
おい!デュース、やるぞ!!」
「あぁ、分かってる。
ここまで来たら向かい打とう!」
二人がペンをバケモノに向けて魔法を放つのと同時にグリムの青白い炎が一直線に走っていった。
今までぶつけられた大釜が相当こたえたのか、足元が少しふらついているように見える。確かに弱っているみたい。
「グリム!右斜め上から拳きてる!エースくんはツルハシに気をつけて!デュースくんはエースくんの魔法の後、すぐに何かぶつけて畳み掛けて!!」
「わかったんだゾ!」
「さんきゅー、デュース失敗すんなよ?」
「お前こそ。調子に乗ってヘマするなよ」