第3章 penaltyコンビ

「カエレ！カエレ！！」
「いでよ……ぐっ！」

デュースがバケモノに抜けて魔法を放つ前にバケモノの手がデュースを擦り、そのまま勢いでデュースは壁にぶつかっていく。
慌ててデュースの側までいく。ぶつかったところは痛そうだけど、飛ばされた時に頭はなんとか庇えたようで酷い怪我にはならなかったようだ。


「デュース！！怪我は？！
「だ、大丈夫だ。かすり傷だよ」
「そう。よかった……

ってエースまで何をやって！」

ペンを片手に風を起こしてバケモノに当てようとしているけど、その風もバケモノにとってはそよ風に過ぎなかったようであっさりと風を散らしてエースを風と共に蹴散らす。
こういう時魔法が使えないと本当に不便なのに！
私は見ていることしかできない。

バケモノの強さはゴーストたちとは比べ物にならない。

「うぅ……
こっちに来るんじゃねえ！ふなぁああ！！」

グリムの青白い炎がバケモノに当たるけど、唸り声をあげるだけ。傷一つつかなかったようだ。
服も不思議と燃えていない。

「ぜ、全然効いてないんだゾ！！」
「！！待ってみんなあのバケモノの後ろに何かある！」
「ほんとうだ！奥の方に何か光って……あの光、もしかして魔法石じゃないか！？」


バケモノの影になって見えなかったけど、一瞬光る何かが見えて、エースが魔法で坑道の奥を照らすと今まで壁にあった石とは違う輝きをした石のようなものが見える。あれがもしかして魔法石…じゃあ、このバケモノはあの石を守るためにいるの？

「あれが！？でも、バケモノを退かさないと…」


「ォオオオオオヲヲヲヲヲヲヲヲ！！！！ワタサンゾオオオ！！！」


私たちが魔法石に気がついたことを感じて、唸り声が大きくなり、私たちへ近づいてきた。これじゃあ、私たちが倒されるのは時間の問題だ。
こんな場所じゃ、逃げる途中で袋小路になって捕まってしまう。


私、なんの役にも立ててない！
悔しさで唇を噛み締める。その時、壁をつたって立ち上がるエースを見て叫んだ。


「エース！平気！？」
「あ、ああ」
「ここから出口まで案内することってできる！？このままじゃ魔法石を取るのは難しいから一旦外に出よう！！」

「！わかった…おい、デュースも行くぞ！」

ぱちりと目を瞬かせ驚きながらエースは私の呼び掛けに思考を切り替えてその場の状況と退路の確認をする。