The end of the story 【ツイステ】
第3章 penaltyコンビ
学園内の奥まった場所にある保健室はそこまで利用する人はいないのか周囲は閑散としている。
しばらくすると保健室らしき場所で二人は立ち止まった。
「二人とも凄いね……」
「何がだ……?」
思わず漏れてしまった一言にデュースは首を傾げた。
「いや……私。今まで気づかなかったんだけど大分方向音痴みたいでさ。今日、グリムに助けてもらいっぱなしだったから二人も学園に来たばかりなのにもう何が何処にあるのか分かってて凄いなぁって」
「そんな方向音痴なのか?」
「うん。目的とは真逆の方向に歩いて行っちゃうくらいには」
「そうだゾ。おかげで朝、ユウが変な方向行くから大変だったんだゾ」
「ええーまじかよー。流石にそんな方向音痴なやつ見たことない……っと先生はいたな」
うわー凄いベッドの数。名門校ってことは生徒数もそれだけ多いからこの数なんだろう。
キョロキョロと見回した先に部屋の奥の方で事務仕事をしている男性がいる。あの人かな?
保健室の先生…やっぱり男性なんだ。確かこの学園は男子校だったっけ。ゲームの内容は薄っすらとしか覚えてないから保健室の先生の病者あったのかはわからないけど。
多分ゲームには出てきてない人かな。
眼鏡をかけていて、温和そうな感じだけどこの学園の先生だから一癖ありそうだなぁなんて知られたら失礼なことを考えてしまった。
「あれ?一年生たち、どうしたのかな?」
「こいつ、ガラスの破片で怪我したんで診てやって」
「…どれ?…と中々派手にやっちゃったね。破片が手のひらに食い込んでる」
先生はピンセットを浮かび上がらせて手元まで持ってくる。手のひらに食い込んでる小さな小さな破片を慎重に取り出すと汚れをとるためか魔法で水を出して傷を包む。
じくじくとした痛みが広がるけど、このくらいならまだ耐えられるかな。
「ん?君、全然痛がらないんだね。麻酔なしでも大丈夫な傷だけど、この怪我だとかなり痛いだろ?
それに君は何というか……」
「先生?先に治療して貰えませんか?私たちこの後急ぎの用があるので」
「…分かったよ。包帯を巻くからじっとしておいてくれ」
急な話題の変換に後ろで様子を見ているエースとデュースは不思議に思いながら治療が終わるのを待っていた。クルクルと巻かれる包帯が面白くてついじっと見ているとくすくすと笑う声が聴こえて顔を上げる。