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The end of the story 【ツイステ】

第3章 penaltyコンビ



まぁちょっと痛いけど、これが終わったら寮に戻って対処すればいいや。


「私、生徒じゃないしこれくらい大袈裟だよ。それにあんまり痛くないからこのままで平気。それよりドワーフ鉱山へ急ごう?」
「………あのなぁ。さっきも思ったけどオマエ自分のことなんだと思ってるわけ?」
「へ?」
「箒がなかったからって素手で拾ったら怪我するに決まってるじゃん?しかも、何?弁償のために自分を犠牲にしないと割に合わないと思ってる?意味わかんねー」

何も言い返せない。でも、私は。わたしはそれで相手が嬉しいならいいと思う。それが相手のためになら喜んで体を差し出す。
……例え私にとって恐ろしいことでも。
エースは黙ったままの私に顔を顰めて小さく溜息を吐くと、突然私の手首を引っ張った。



「え、エース?」
「保健室行くぞ。オレはオマエが何考えてんのか知らねーけど、怪我放置したままだとこっちが怒られる」
「ふ、素直じゃないな」
 

デュースはニヤリと笑いながらさりげなく私の腕からグリムを抜き取った。
 
「うるせーシャンデリア壊した元凶のジュースは黙ってろ!」
「だからジュースじゃなくデュースだ!そっちこそ掃除をサボろうとしたせいだろう!」
「やれやれ。青春だと微笑ましく見ていた途端にこれですか……。これからドワーフ鉱山で魔法石取ってこれないと退学だと言ったばかりなのに元気ですねぇ。……では明日の朝を楽しみにしていますよ」
「は、はい!」


わぁわぁと喧嘩をし始める二人の声に呆れ果てて今までの怒りが吹っ飛んだのか学園長は苦笑している。手首を握ってくれるエースの手は思ったよりあったかくて。家族の握り返してくれるあの温かい手が無性に恋しくなった。

自分はここでは歪な存在だと感じさせる。


二人の喧嘩がヒートアップして声が大きくなり、学園長が食堂を立ち去ってからようやくグリムが目を覚ました。

「あれ?オレ様は一体……」
「お、やっと目を覚ましたな?毛玉……グリムだったか?こいつがガラスで怪我したからデュースが代わりに抱えてるからな」
「怪我?って子分!手が血塗れじゃねえか!」
「うーん。そんなに酷い怪我かな…」


もう血は止まってそうだから平気なのに。首を傾げる私に保健室まで案内してくれる二人は溜息を吐く。グリムは今までの様子が嘘のようにすんなりとデュースに抱えられていた。
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