The end of the story 【ツイステ】
第3章 penaltyコンビ
「あぁ、もうっ!ちょろちょろしやがって!」
「ふふーんだ。捕まえてみろってんだ!」
「く、素早い。……は…ふぅ。こほっ」
「オマエ、流石に体力無さすぎないか?」
「仕方ない、でしょ。買い物袋を寮に置きに行く暇がなくてそのまま来ちゃったんだから!」
息を吐く暇もなく走っているせいで上手く呼吸ができない。そう、ツナ缶や日用品が入った袋を持ちながらグリムを捕まえようと走っているんだよ、私は。ただでさえ私足遅いのに!
メインストリートの掃除のあとに荷物は置いていけばよかった……今更後悔し始めている。
気づけば私たちが掃除をする予定の場所である大食堂まで着いていて、グリムは魔法を使って浮かんで大食堂のシャンデリアの上まで登っていた。
これじゃあ、私たちは手出しできないよ。
いくら広い場所についても魔法を当てることの出来ない位置にいれば意味ない。
「ここまでは来れないだろー!オマエら、間抜けなんだゾー!」
シャンデリアの上でこちらを煽るグリムを私たちは見上げ、睨みつけた。
捕まえることができたらグリムを狸鍋として食べてしまおうかな。きっと丸々太っているからいい出汁が出るよ?
そんなことを考えていたのを察して、グリムは一瞬背筋が寒くなったのを感じた。
「ちっ!あの毛玉に向けて魔法を出したらシャンデリアに当たっちまう!」
「こらっ!シャンデリアの上に登るんじゃないっ!危ないだろっ!」
「そんなこと言ってる場合か?!」
「グリム、降りてきて!それ壊したら今度こそ学園長に追い出されちゃう!!」
私たちの言葉に聞く耳を持たないグリム。二人にグリムを捕まえられる様な魔法とかないの?とダメ元で聞いてみるが二人は首を振る。
「高度な魔法なんて使えないし、オレたちまだ入学したてほやほやだから飛行魔法は習ってねーの!」
「何か方法は…何かで捕まえる魔法……」
なんだかんだいって協力してくれるデュースは何かかしらの魔法がないか悩んでいる様だが、あのままだとまた逃げられちゃう。
物で釣れないかと思い、さっき買ってきたツナ缶を出して今日の夕飯ツナ缶使おうと思ってたけど降りてこないならやめにするよと言うが、嫌がりはしたけど降りてくると掃除させられるのが分かっているからか効果はない。
「ツナ缶は食べたいけど…掃除はもっと嫌なんだゾー!」
グリムなら物で釣れるかと思ったのに。