The end of the story 【ツイステ】
第3章 penaltyコンビ
「こらぁ!止まれ、この毛玉!」
「ふんっ、嫌なんだゾ!」
もう随分と遠くまで逃げてしまったグリムを三人で必死に追いかける。私は二人と違って魔法なんて使えないからホントに走ることでしか逃げてしまったグリムは捕獲できない。あいにく縄とかもないから。威嚇して逃げていくグリムに仕方なくエースは胸元からペンを取り出す。
グリムは私たちを撒こうと木を利用したりと障害物を上手く利用して逃げている。頭がいいと言うよりこれは野生の感というやつだろう。
が、それが仇となって行き止まりになってしまう。
すぐにエースとデュースは追いついた。
「やべっ!行き止まりなんだゾ!」
「よし」
「「魔法で足を止めれば……」」
グリムの足を完全に止めようと二人は同時にマジカルペンを向ける。しかもピッタリ声が重なった。
仲良いな君たち……。
ハモることなんてそうそうないよ。
「被せんのやめてくんね?ひっこんでろよ!」
「そっちこそ邪魔するな!」
「……は…はっ……ちょ、ちょっと!二人とも喧嘩しないで!グリム逃げてるからっ!」
「やべ!」
二人が喧嘩してる隙を見てグリムが別の方向へ逃げていく。こういうときのグリムってほんとに素早い。エースとデュースは慌ててグリムの後を追う。
私はみんなの足が早すぎて完全に置いていかれている。ほんと早い。私追いつけないよ。しばらく走るとまたグリムを行き止まりに誘い込むことができるとエースがペンをグリムに向ける。
「よっしゃ!今度こそ、魔法打つタイミング合わせろよな!デュース」
「え?」
「おい!こら早すぎ!まだ打つな!」
デュースはエースの声が聞こえなかったのか魔法を放つ。
エースが振り返ってデュースに文句を言っている最中にまたグリムが逃げ出す。まぁ会ったばっかりなんだから息を合わせるのは難しいだろうね。
見た感じ二人は大分違うタイプの人間の様だから。
「ラッキー!今のうちなんだゾ!」
「あっ!また!」
「くっそー!待て、毛玉!」
グリムは今度は校舎の中に入って人の間をぬって走っていく。小さい分、人の足元を簡単に通り抜けてしまう。
せめてもう少し広い場所なら二人が魔法を使って捕まえられるけど、廊下じゃ人を障害物として利用して走っていくグリムには追いつけない。