The end of the story 【ツイステ】
第2章 encounterボーイズ
鍋を退かすのを手伝うとエースは頭を摩りながら起き上がった。見てるだけでも痛そうだったんだから本人はもっと痛いよね……。
ブツブツと私たちに文句を言うエースは全く反省している様子が見えない。
「まさか大釜が出てくるとは…」
「……ったく。窓拭き100枚くらいくらいぱぱっとやってくれればいいだけじゃん!」
「パパッとできません。それにもしサボったとしても私は学園長にそのことを伝えないといけないからもっと面倒な罰が下されることになるよ?」
「罰で窓拭き100枚って……一体、君たちは何をやったんだ?」
巻き込まれただけの彼は不思議そうに首を傾げた。
同じ寮の人が知らないってことは今朝のことはそこまで噂として広がっていないのかもしれない。リドルさんのように寮長クラスだからこそ知ることができたのかな。
「今朝そこの毛玉とじゃれてたら、ハートの女王の像がちょーっと焦げちゃっただけ」
「いや、ちょっとじゃないよ。あれは黒焦げのレベルだよ」
私は朝に焦げた石像を思い出し、じとりとエースを見つめた。先に炎を出したのはグリムだけど、からかってきたエースも悪いので私はなんとも言えない表情になるしかなかった。
石像が黒焦げになったのを聞いてスペードのペイントをつけた彼はぎょっとして、私たちの顔を唖然と見つめてきた。
まぁ、そりゃそうなるよね。
グレート・セブンはこの世界の人にとっては憧れの人物らしいし、そんな憧れの存在の石像が燃やされるって……正直退学処分にならなかったのが不思議なくらいだから。
私とグリムである程度黒くなったところは取れても完全に取り去ることは不可能だった。
あとは学園長が何とかしてくれるのを祈るだけだ。
「え、グレート・セブンの像に傷をつけたのか?!それは怒られるに決まってるだろう……入学して初日で一体何をしているんだ……」
「……るせー。ってかオマエ誰だよ」
「俺はデュース、デュース・スペードだ。全く、クラスメイトの顔くらい覚えたらどうだ?……君はえーと…」
「お前も覚えてないじゃん」
何なのコイツと言いたげなエースは思わずツッコミをしてしまったが、私もそれには同意。知ってて同じクラスメイトだと言ったんじゃないのね。
この人、もしかして意外と真面目そうに見えて天然?私もよく抜けてるって言われるけど更に上を行くというか。