The end of the story 【ツイステ】
第2章 encounterボーイズ
べートーヴェンの肖像画とかが夜中に話しているって噂があって肝試しで男子たちが学校に行ったっていうのは人伝に聞いたことはあったけど。
本物を見るのは初めてだなぁ。
「なんだい?しゃべる絵画なんか、この学校じゃ珍しくないだろう?あっちの壁の貴婦人も、こっちの壁の紳士もみんなおしゃべりするよ。肖像画には口があるんだから、おしゃべりもするってものさ。普通のことだろう?」
「そう、なんですね。普通なのかはわかりませんが、私はしゃべる絵画を見たのは初めてです。食堂や寮にいるゴーストの類と同じなんでしょうか?」
「ふわふわ落ち着きなく漂ってる連中と違って、この壁に50年以上落ち着いて座っているがね」
「なるほどつまり絵に宿ったゴースト。日本で言う付喪神の様なもの?」
物に意思が宿っているんだからちょっと違う気がするが、間違っていなくもない。あれはゴースト、幽霊というより妖怪とかの妖に近いらしいけど。
付喪神である刀を思い出してしまった私は悪くないと思う。
肖像画さんは表情の分かりづらい顔で続けた。
「そのツクモガミ?ってやつは知らんが…お前さんたち何か探し物かい?」
「この教室にいたはずのエース・トラッポラくんです。確かハートペイントをつけていました」
「もさもさの爆発頭のやつだ」
少し時間をおいて肖像画は思い出したように話し出した。それも私の予想通りの答えが返ってくる。
「ああ、知っているとも。今日から入ってきた新入生だね。少し前に寮に戻っていったようだけど……」
「にゃに〜!あの野郎、やっぱり逃げやがったんだゾ!どっちに行ったかわかるか?」
「恐らく寮への入り口、鏡舎だろう。東校舎の奥にあるよ」
「子分、行くぞ!エースを捕まえてやるんだゾ!」
親切な肖像画に向かって頭を下げた。私とグリムは教室を出ると昼ごろに見た鏡舎に向かった。もちろん私が行こうとすると迷うのは確実で、グリムに先導してもらいながらだけど。
「待って!グリムーあんまり早いと私が追いつけないって!!」
***
鏡舎に無事辿り着くと私たちは鏡舎の中をキョロキョロと見回した。鏡舎の中には初めて入ったけど綺麗な装飾のついた鏡が沢山置かれている、全部で七つ。エースの言っていたグレート・セブンに倣って七つあるのかな?肖像画がいうにはあの鏡が寮への入り口になっているようだ。