The end of the story 【ツイステ】
第2章 encounterボーイズ
グリムは目をキラキラと輝かせてその袋を覗き込んだ。こういうところ可愛いんだよね。
私は学食のパスタを口に運ぶ。お、これ結構美味しい。トマトと肉の風味がしっかりしてる。やっぱり男子が好んで食べるのが多いのかガッツリ系が多くて少しでも軽いものを選んだ結果である。
いつも味の薄いものばかりだったから味が濃いのって少し新鮮。毎日は無理だけど、こういうのもたまにはいいよね。
「ほんとか?!ツナ缶、楽しみなんだゾ!」
「今日の夕飯に出してあげるね」
「やったんだゾ!」
ツナ缶を食べられるのが分かったグリムは放課後この大食堂の窓拭きをするせいで気落ちしていたのにすっかり機嫌が戻ったようだ。今日の夕飯を楽しみにしているようだから私ができる限りの料理を振る舞わないとね。
あまり自信はないけど……自分の食べるものは自分で作っていたし普通の人よりかはできるというレベルだ。それでも誰かと一緒に食事を楽しめるのは嬉しくてついつい仕事の時間が始まるギリギリまでグリムとお喋りを楽しんでいた。
それでも周りの視線は痛いくらいにこちらを向いていてすごく気になった。式典服から普通の購買で買った私服を着たので最初よりかはマシになったという感じだ。
好奇心旺盛な人たち以外にも今朝のエースのように何かしら悪意をもって接してこようという人がいるだろう。リドルさんにも注意されたわけだし、これから生活していく上では気をつけなきゃいけない。
「はぁ…先が思いやられるなぁ」
「?突然なんなんだゾ」
「ん、もうグリムが問題起こさないようにって思っただけ。……よし。食べ終わったし掃除の続きをしようか。まだまだメインストリートは半分を切ったくらいなんだから」
「むう。ユウ、嫌なことを思い出させないで欲しいんだゾ…」
掃除の一言でグリムは窓拭き掃除のことを思い出したのか顔を顰めてしまったので苦笑しながらひたすらグリムを宥めた。
逃げようとするたびにツナ缶を持ち出して、一緒に煮込んで狸鍋にしてやろうかなと杵を下ろすような動作をニコニコと笑いながら。暴れん坊のグリムもお前、時々怖くなるのやめて欲しいんだゾと震えながら最終的にはいうことを聞いてくれた。
「これ、説得じゃなくて完全な脅しだと思うんだゾ」
「ん?何か言った?」
「イエ、ナニモ」
完璧な猫になったグリムは大人しく首を振った。