The end of the story 【ツイステ】
第2章 encounterボーイズ
「ここは魔法薬学室の近くだよ。購買部ならここに来る前に通ったと思うけれど」
「へっ!と、通った……?気づかずに通り過ぎちゃったのかな……」
「初めてこの学園に来たからとはいえ気が緩みすぎなんじゃないかい?」
「う、次からは気をつけます……」
退学にならなくてつい安心して気が緩んでいたのは確かだから何も言い返せない……。
今まで通ってきた道を慌てて見てみれば、確かに植物園のような建物が近くに建っているのが見える。
グリムのことで自覚したけど私、初めて来た場所にはこんなに弱かったんだ。
昔から行動する範囲は制限されていて気づかなかったなぁ。そもそもなぜおかしいと気づかなかったのか。ここに来る前に鏡舎の近くも通ったのに。落ち込んで肩を落とす私の頭をポンポンと慰めるように彼は撫でてくれた。
「まぁいいよ。授業終わってこの後学食に行くだけで暇だし付き合うよ」
「付き合う……?」
「ボクも購買で追加のノート買っておこうと思っていたから丁度いい。ついでに案内しよう……といってもすぐに着く距離だけどね」
苦笑しながら言われた言葉にぱちりと目を瞬かせる。朝にあった人と同じ寮らしいけど大分親切な人なんだなぁ。
厳しい印象の人だけど多分自分の寮の人がやったことに対して怒っていただけで後輩思いの先輩って感じだ。
「えっ!い、い、いいんですか?!」
「あぁ。その代わり問題は起こさないでくれ。そうだ……自己紹介がまだだったね」
「そ、そうでした。私は柊木ユウ。
柊木が苗字、ユウが名前です」
「へぇ。変わった名前だね、東の方の出身かな?ボクはハーツラビュル寮の寮長。リドル・ローズハートだよ」
名前まで綺麗……。名は体を表すというけど本当にその通りだ。ローズ、薔薇が似合いそうな人だと思う。
何というか普通に歩いているだけなのに育ちの良さが内から滲み出てきているというか。所作からしても上品な感じ。
「寮長さんなんですね!ということは三年生ですか?」
「ん?いや、寮長自体は何年生からでもなれる。ボクの場合は一年でなって今は二年生だね。君も何かまた聞きたいことがあったら聞きにおいで。魔法が使えないとこの学園では色々不便だろう」
「え、いいんですか?じゃあ、その時は遠慮なく聞きに行きます!」
「と…ここが購買部。メインストリートからは右に出てまっすぐ行けば着くよ」