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The end of the story 【ツイステ】

第12章 Confusionトゥルース!



大食堂についたらグリムが真っ先にお皿を貰いに飛び出した。
うわっ…もう見失いそう。たまに周りが見えずにぶつかって喧嘩になることがあるのでどうもハラハラしてしまう。食堂での喧嘩といえば、ふととある先輩がグリムが買おうとしたパンを「交換」して買っていったのを思い出した。

「相変わらず食いしん坊なんだね、グリちゃん」
「あ、はい…おかげで食費が結構な金額になるんですよね」
「とりあえずボクは席を取ってくるよ。キミも一緒に食べるだろう?」
「お邪魔しても大丈夫でしたらぜひ!」
「もちろん、監督生ちゃんなら大歓迎だよ!監督生ちゃんと一緒に食事をするのはパーティー以来だね」

恐らくあの時のオイスターソース事件が起こった何でもない日のパーティーのことを言っているのだろう。リドル先輩もあの日を思い出したのかくすっと笑みをこぼす。戦利品の食事を持ってきたご機嫌のグリムを迎え、私も自分の食事を適当に選んで席につくとようやく一息つくことができた。

「ふな~噛むごとに口の中に広がるジューシーな肉汁!絶妙な火加減でぷりぷりで美味しいんだゾ~~!!」

頬がとろけていきそうな勢いで食べ進めるグリムを見ているとこちらまでお腹いっぱいになりそうだ。そんなに美味しいのなら気になるなぁ。

「グリちゃんの食レポは絶好調みたいだね!」
「全く、もう少し静かに食べられないのかい?」

呆れた様子を見せる先輩をちらりと横目で見ると綺麗な所作で食事をする先輩の姿が映る。

「…リドル先輩って食べ方綺麗ですよねぇ」
「?そういうキミだってそうだろう?ボクはお母さまの仕事の都合で所作には気を付けているけれど。キミはどこかで習ったのかい?」
「んーまぁ。私の家、貧乏ではあったんですけど、母が礼儀作法に詳しい人で相手の失礼にならないようにって教えてもらったんです」

そう私の母はおっとりとしていて、どこか抜けているところがあるけど、礼儀で人の印象が変わるんだよと熱心に教えてくれたのだ。といっても外食することはほとんどなくてそれを披露する機会はあまり多くはなかったのだけど。
…夢で元の世界に戻るのを見たからかな。妙に感傷的になってしまう。懐かしくて胸が苦しくなって、鼻の奥がつーんとする。リドル先輩のキミの母親はとても素晴らしい人なんだねという優しい声が響き、こくりと無言で頷いた。

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