The end of the story 【ツイステ】
第12章 Confusionトゥルース!
「貸し出し…か。なるほど、確かにそれなら違反をするものも少なくなりそうだね…。学園長にあとで予算に組み込んで渡してみよう。ありがとう、ユウ」
「へ?特にお礼を言われるようなことでもないですが…」
よくわからないが、不思議に思って口から出た質問で寮がまた変わりそうなのはわかった。ふとにこにことは口を出さないようにしながら私たちの会話を聞いていたケイト先輩が思い出したように話し出した。
「あ、そういえばさ。昨日の夜、また一人怪我をした人が出たらしいよ」
「!!それ…本当ですか?!」
「うん。目撃していた肖像画くんの情報によると…怪我をしたのはスカラビア寮の二年生。
ジャミル・バイパーくん。調理室で事故にあったらしいよ」
その名前を聞いたときひゅっと息を呑んだ。
嘘…ジャミル先輩が怪我を…?
怪我の程度はわからないが、トレイ先輩の包帯が巻かれた足を思い出して眉を寄せた。
「…どうしたんだ?ユウ」
「え…あ。ううん、ジャミル先輩が怪我をするなんて…思わなくて」
「そっか。ユウちゃんってジャミルくんと知り合いだっけ?」
こくりと頷くと頭の上にぽんと手を置かれる。見上げるとケイト先輩が心配そうに私を見つめていた。大丈夫?と言われているように思えて、口の端を持ち上げて笑う。
驚いたし心配だけど…ケイト先輩があまり焦っていないし、きっと大怪我というわけではないのだろう。それにジャミル先輩はすごい人だからきっと大丈夫だ。
そんな風に自分に言い聞かせながら二人の先輩に笑いかけた。
「行きましょう?今の時間ならジャミル先輩もきっと朝食を摂りに食堂に行っているでしょう?」
「…あぁ。ジャミルに聞きに行こう」
「おー、何だゾ!」
食堂へ走るグリムの後を追いかけて食堂へ向かう私の背中を二人の先輩はじっと見つめていた。
「ね、監督生ちゃんさ」
「うん。あれは無理矢理笑おうとしてたと思う」
「だよねー。トレイくんの時もそうだったけど、まーた無意識に自分のこと責めてるのかな」
困った後輩だと食堂へ向かう後輩を追いかけながら眉を下げて笑い合った。