The end of the story 【ツイステ】
第12章 Confusionトゥルース!
「こんな夜更けに一体何の用だ?ホームシックで子守唄でもねだりに来たのか?」
「オレが歌ってやろうか??シシシッ!」
「理由が知りたいだけだ。あんたたちは何故こんなことをする」
「ふむ。寝物語をご所望のようだ。いいぜ、特別に話してやるさ。俺たちは二年連続でマレウス率いるディアソムニア寮とトーナメント回戦でぶつかった…その結果、初戦敗退だ」
ラギーも当時のことを思い出したのか苦い顔になる。俺にとってもあの出来事は屈辱的なものだった。ディスクに触ることもできずにまるで遊ばれている状態。思い出しただけでマレウスに対する嫌悪感が強まる。たった一人に優勝常連寮だったサバナクロー寮の生徒たちは翻弄されていた。たった一人……茨の谷の次期当主、マレウス・ドラコニアによって。
「敵を力でねじ伏せてきたサバナクロー寮がまるで目も開いてねぇ子猫みてぇな有様だった。それが全国に放映されちまったわけだ。なぁ、ジャック。どうなったと思う?
寮長は無能の烙印を押され、サバナクロー寮生へのプロリーグや一流企業からのスカウトはゼロになったんだ」
そしてこの無能の烙印を押された俺は結局あのマレウスを称えるためのダシにされたわけだ。
「でも…それは自分たちの力が足りなかったせいで…」
「あぁ。お前の言う通りさ。去年までの俺たちは本当の意味で人事を尽くしていなかったんだ。バケモノ相手に真っ向勝負を挑むなんて、敗けると分かっているのにな。
百獣の王の不屈の精神に基づくサバナクロー寮が聞いて呆れるよなァ」
「だからってあんな闇討ちみてぇなのは間違ってる!」
「…間違ってる?ジャック…俺はな?お前たち寮生のことを一番に考えてやってるんだぞ?」
どの口が言うんだと言いたげなラギーの視線を無視して続ける。
「マレウスを打ち破り、今まで受けた雪辱を果たせば世間のサバナクロー寮への評価は回復するんだ。今年勝てなければ…マレウスは殿堂入り選手に入ることが決まっている。
これが最後のチャンスだ。お前は先輩たちの未来を台無しにしたいのか?」
「っ…それ、は…!」
「頭を使って獲物を狩ることなんて卑怯でもなんでもねぇ」
口籠もったジャックを横目で見やる。変に正義感が強いなこの一年。
妙にその姿には既視感を覚えた。