The end of the story 【ツイステ】
第12章 Confusionトゥルース!
そこはサバナクロー寮の一室。外からの乾いた風が流れ込む寮長室だ。薄暗い部屋に月の明かりが差し込んでいるのをレオナはぼーっと見ていると足音が聞こえて耳が揺れる。ベットから体を起こしてドアから顔をのぞかせたのはやはりハイエナの獣人ラギーだ。
「レオナさーん。お疲れ様ッス。お夜食を持ってきたッス。それでついでに一仕事こなしてきたッス」
「あぁ。お前は気が利くなァ。ラギー」
「そりゃもう!レオナさんのためならお安い御用ッスよ!」
シシッと笑うラギーにレオナは鼻を鳴らす。共犯者に対してレオナはどこか冷めた眼差しだ。
「よく言うぜ…自分のためにやってんだろ、お前は」
「やーだな。俺たちのためじゃないッスか。世界をひっくり返してやりたいのはみんな一緒ッスから。それに伝説の百獣の王と手を組んだハイエナだって、自分たちの境遇を変えるために百獣の王に従った。オレは同じことをしてるだけッスよ」
「なら…『狩り』は慎重にやれ。証拠を残すな」
「もちろん!獲物はひとかけらだって残さず片付けるのがハイエナのポリシーッスから!!」
「ふっ…そうだったな」
レオナは目を細め薄ら笑う。わざと事件を仄めかす発言をして、獲物が身じろぎするのを感じ取る。全くこれでバレないと思ったのか。
舐められたものだ。
でかい耳でこちらの会話を盗み聞きしているようだが、ドアの隙間から漏れる匂いで丸わかりなんだよなァ。
「ところで次の『獲物』はどの寮の誰にしましょうか?」
「そうだなァ…
人の話をこそこそ立ち聞きしている狼なんてのはどうだ?」
「えっ??」
ラギーは気づいていなかったのかぎょっとドアの外の気配を探って、すぐに険しい表情へと変えた。流石にオレの部屋にいるとはいえ気を抜きすぎだ。
レオナは少し呆れながらドアの方を睨む。
「いるんだろ?一年坊。そんなにでけぇ耳して立ち聞きとは趣味が悪いな」
「……」
すごすごとドアから姿を見せたのは予想通りの人物。妙に突っかかってきた一年のジャック・ハウル。
そんなでかい図体してれば普通に気づくだろ。