The end of the story 【ツイステ】
第11章 Reconciliationドリーム!
暖かい春の日差しが窓から差し込む。
眩しさに少し目を細めると、ジューッと美味しそうな朝食を作る音がキッチンから聞こえてくる。
「あぁ……ここは…私の、家だ」
懐かしさに胸の奥が苦しくなる。
あんなに友人達に恵まれていて、一人じゃなくて居場所もある。それでも私にとってはこの場所が一等愛おしくて恋しい……
だってここには私の全てが詰まっているのだから。
「お父さんとお母さんには今頃お仕事頑張っているのかな。……ごめんなさい、何も言わずにいなくなってしまって。
いつになるのかわからないけれど、どうかどうか。
…待っていて。きっとこの場所に戻るから」
そう言葉を口にした瞬間、脳裏に青い炎が横切った。私、その時になったら……
まだ何も考えたくないな…後回しにしたって仕方ないって分かってるのに。
***
風が部屋に吹き抜けるとするりと景色が溶けるように変わっていく。
また、夢。今度は一体何?
目を開けるとそこはゴツゴツした岩場でどこか薄暗い。動物の骨が至る所に落ちていて不気味だ。
温かな部屋とは一変した世界に目を瞬かせる。
『動物…それもハイエナの…行進??』
ハイエナたちは揃った足取りで歩き、岩の上には仄暗い笑みを浮かべるライオンがいる。その翡翠の瞳は野心に燃えていて、妙に既視感があった。
あのライオン…誰かと似ているような…?
「世界をひっくり返す。シンバを殺すのだ、父子もろともな。そして俺が新たな王となるのだ!」
「王様万歳!!」
「王様万歳!!」
え……?シンバ…?
その名前って……
私の頭の中に一頭の幼いライオンが浮かび上がる。
戸惑う中、ライオンとハイエナたちは止まらない。
きっとそれぞれ、目先の利益しか見ていないのだろう。
これは夢だとわかっているのに嫌な予感が胸の中を巣食う。だって、サバナクローにもライオンとハイエナの獣人は存在していて…その関係性は目の前の景色とそっくりだ。
まるでこれからの未来……破滅を教えていると思うほどに。
「牙と野心なら誰にも負けない…覚悟していろ!!」
『王様……ね。どうしてそうまでして王様になりたいの?』
それは私の純粋な疑問。私の問いかけに反応する者はいなかったけれど。
私には縁遠い世界。
王様になりたいからには何かやりたいことがあるの?
私はどうにもそんな風には思えなかった。