The end of the story 【ツイステ】
第11章 Reconciliationドリーム!
「お前、ここに住んでいるのか?ここは長いこと廃墟だったはず」
「…そうですね。学園長に許可を貰ってここに住まわせてもらっています」
「独りで静かに過ごせる僕だけの場所として気に入っていたのだがな」
それは申し訳ないことをした?のかな。
……なんだか不思議な人だ。残念そうなのに感情の揺れが少なくて煙みたいな……。
「私はここの寮で監督生をしている柊木ユウです。貴方はディアソムニア寮、ですよね」
「あぁ、そうだ。ユウか、珍しい響きの名だな」
「そうでしょうか?」
「東にあるという国と少し似ている。僕は……」
少し悩んだ後、首を振って聞かない方がいいと返された。どういうことだろう。
「不思議そうな顔をしているな。本当に僕のことを知らないのだな。きっと、知ってしまえば肌に霜が降りる心地がするだろう。世間知らずに免じて僕のことを好きな名で呼ぶことを許そう」
「…は、はぁ。わかりました」
よくわからないが、好きに呼べと言うのなら考えておこう。
戸惑いながらも頷くとそれが後悔に変わらないといいなと返された。その顔を見るが冗談なのかよくわからない。
なんか偉そう……というか、多分偉い人?かな。
振る舞い方に慣れてるように感じるし、所作が上品で綺麗。
でも、やっぱり変わった人なのはわかった。
「…それにしても人が住み着いたということはここはもう廃墟ではなくなった。残念だ……
また新しい散歩用の廃墟を探すとしよう。では僕はこれで」
「散歩用の廃墟って……?!!」
き、消えた……
つい先ほどまで目の前に立っていたのに。キョロキョロと周りを見回すが、本当に消えてしまったようだ。ディアソムニアの人って…みんなこうなのかな。ヴァンルージュ先輩も突然パッと現れたかと思えば、消えるし。
あ、でも……シルバー先輩はちょっと違うか。
そうだ、あの人のことなんて呼んだらいいんだろう。名前をつけてくれと言われても名付けのセンスに自信がないや。それに……結構背が高くてきっと先輩だからそんな気軽に名前をつけるのは果たしていいのだろうか。
「…くしゅっ……ふぅ、部屋に戻ろ。これ以上いると風邪ひいちゃうや」
空を見上げると今日は満天の星空。もうすぐで冬がやってくる。
私、それまでに元の世界に戻れるのかな……?
不安で揺れる声を聞き届ける者は誰もいなかった。