The end of the story 【ツイステ】
第2章 encounterボーイズ
けど、ここは余計なこと言うと更に面倒なことになりそうだから黙っておかないと。
「すみません…魔法の間に入るのは流石に出来なくて。喧嘩を未然に防げたら良かったのですが……」
仕事が始まって一日目からこんなことになるとは思わなかったなぁ。
学園長は私にグリムを抱えているようにというと次はエースに視線を向けた。
「君、学年と名前は?」
「エース・トラッポラ……一年…デス」
「ではトラッポラくん。グリムくん。ユウくん。三名に大食堂の窓拭き百枚を罰として命じます」
「にゃにっ!元はと言えばそこの爆発頭がオレ様を馬鹿にしてきたせいなんだゾ!」
「え、オレも?!」
グリムもそんな挑発に乗って喧嘩買って先に火の玉ぶつけちゃったんだから自業自得とも言える。私も学園長に言われていたのに止められなかったから実質手を出していなくても連帯責任だよね。
エースはそもそも自分まで掃除に付き合わされると全く思っていなかったのか表情が引き攣った。
「当然です。放課後は大食堂に集合して掃除です。いいですね?終わったらユウくんは私に報告に来てください」
「わかりました。学園長室?でいいんですよね?」
「えぇ、お願いしますよ」
私が学園長に確認を取っているとエースとグリムは苦虫を噛み潰したような顔をしていた。主に石像が焦げたのはエースとグリムの所為なのに…納得できてないんだね……。
昨日から散々だと呟くグリムにそれは私のセリフだと言ってやりたい位だ。こっちこそいきなり目を覚ましたら異世界で、しかも帰り方が分からないからってグリムと一緒に雑用をすることになって。今度は石像を燃やすなんて。
今日から確実に事件が起こると予感はしていたけど、こんな風に当たって欲しいとは思ってないよ。これから先が本当に思いやられる。
それからエースは授業があるからと校舎に向かって、学園長も仕事があるとそそくさと立ち去ってしまった。
学園長…片付け面倒だから逃げたんじゃないよね?
小さく溜息を吐いて石像の黒焦げを雑巾で取るところから始めた。
これがまた中々取れなくて大変だった。
石像自体が高い位置にあるから自分だけじゃ届かなくて上手く拭くことができない。背伸びをしても届かなくて結局石像はグリムに任せた。
石像をよじ登るのってまずいかと思ったけど、あいにく登れそうなものが近くにない。