The end of the story 【ツイステ】
第11章 Reconciliationドリーム!
「それって……この間食堂でグリムが狙ってたパン?」
ミニあんぱんと交換して半べそになりながらパンを食べてた姿は割と最近のことだ。
しかし、まさかの呼び名が食べ物。
美味しそうなパンの名前で呼ばれた人も流石の呼び方にぎょっとしていた。てか、あの人も見覚えあると思ったら植物園で会ったような。
あのライオンみたいな寮長さんを呼びに来てたんだっけ。
「ちょ、勝手に人の名前をそんな美味しそうな名前にしないで欲しいっす!
オレにはちゃんとラギー・ブッチっていう男らしい名前がついてるんスから!」
「……ラギー・ブッチってどちらかといえば可愛いよりの名前のような……?」
「いや、そこ突っ込んだらダメだろ」
「あァ?お前、よく見たら植物園で俺の尻尾踏んづけた草食動物じゃねえか」
しっかり覚えていらっしゃる……
寮長さんの発言にケイト先輩とエースたちまで目を丸くしてこちらを見ている。
あー、うん。
やらかしてるんですよねぇ、既に。
寮生なのは分かっていたけど、ここの寮長さんだとは思わなくて。
そんなに驚いた顔するくらいだからこの人、本当に有名な人なんだ……
寮生たちが寮長の言葉を聞いて、一斉に私を睨んでくる。口々に許さないと言っているのが、聴こえてきて、これは……まだ帰れそうにないなぁ。
「その節は失礼をしました…」
踏んでしまったのは私のせいなので頭を下げて謝るが、それだけで向こうの怒りが収まるわけもなく……。
「ごめんで済んだ警察いらねえんだよ!」
「…ですよねぇ」
「あっ、そっか。そういえば植物園で一度会ってたっスね」
通りで見覚えがあったんだなとラギーは一人で納得したように頷く。
そうですね、会ったことあります。食堂でのことは私は分からないけど。植物園でのことなら覚えてる。トレイ先輩とマロンタルトを作る前の時の話だったはずだ。あのオーバーブロット事件が印象的過ぎてその辺遠い昔のように思えてしまうけど、割と最近の話だ。
「レオナさん、ラギーさん。ここでやっちまいましょうよ!」
「はぁ……ワンワン騒ぐんじゃねえよ。暴力沙汰なんか起こしてマジフト大会出場停止にでもなったらどうする気だ?」
「縄張りを荒らしたやつを見逃すんですかァ?食い出がありそうな獲物なのに……」
「これはもしや…帰してくれる??」
「いや、それはどうだろうな……」