The end of the story 【ツイステ】
第11章 Reconciliationドリーム!
「なんだ?走り込みの邪魔するんじゃねえよ」
睨まれると更に迫力が増す。でも、さっきの会話の内容を思い出せば不思議と恐怖感は失せる。何より私は同学年だけど、一つ年上!
怖くない、怖くない。
「やー突然ごめんね?ちょっとオレたちの話、聞いてもらっていいかな?」
「いきなりなんなんだ?この俺を守る、だと?」
「実は最近学園内でマジカルシフト大会の選手候補が怪我をさせられる事件が多発しているんだ」
「で、オレたちはその犯人を捜しているんだけど…」
「その話となんの関係が?」
「単刀直入にいうと、次に狙われそうな候補にあたりをつけて、犯人が現れるのを待とうって作戦です。ちょっと協力してもらえないかな?」
本当に直球だな。これで相手がその犯人だったらどうするんだろうとは思ったが、ケイト先輩のことだし、性格も知っているからこそ直球で聞いたのだろう。
「断る。俺は一人でなんとかできるし、守ってもらう必要もない。そもそも、俺がお前たちに従う義理はねえからな」
「でも、相手が複数人いる場合流石に敵わないんじゃ…」
「……いらねぇってつってんだろ」
舌打ちをして、苛立ちを真正面からぶつけられて息を呑む。
その迫力にびっくりしている場合じゃない。私にできることはまず相手の動きをよくみること。魔法が使えない私がこの学園に来てから気を付けるようにしていることだ。
怖がっているばかりじゃ、悪意なのか気づくことなんてできない。
怖気づかず、じっと相手の目を見る。
睨んでいるのに静かに見つめ返され、向こうもたじろいでいるのがわかった。
「…それに、俺が狙われることは多分ない」
小さな声でつけ足された言葉に目を見開いた。
自分で狙われることはないだろうって知っている?
その意味を聞き返そうとして、声をかけようとするが問い詰められる前にさっさと寮の奥へ消えてしまった。
もともと私たちが走りこみを邪魔してしまったわけだし、仕方ないのだけど。詳しく事情を聴きたかったなぁ。
でも、これで大きなヒントを与えられたことになる。ジャックくんはケイト先輩のいうように運動神経抜群で狙われる可能性は十分にある。それなのに本人は狙われないとどこか確信して言っていた。
予想ではあるけれど、ジャックくんはこの事件の犯人を知っているのかな。