The end of the story 【ツイステ】
第11章 Reconciliationドリーム!
「その、可愛いっていったのは先輩を嘲るつもりで言ったわけじゃなくて…」
「そんなことわかっているよ。だけど、可愛いといわれるのはなんだか複雑だよ」
「そ、そうですよね」
「そもそも可愛いのはボクじゃなくて……」
リドル先輩の手が私の髪の一房を拾い上げると急に先輩が近づいてどぎまぎする間もなく、髪にそっと口づけをされた。
こちらを少し見上げていたずらっぽく笑う姿は大人びていて、私と同い年と思えないくらいかっこいい。
「キミのような人に似あう言葉だと思うな」
かちんと体が固まってすぐにお湯を沸かしたように熱くなっていく。
硬直した体は上手く舌が回らなくてそんな私の姿にどこか満足げだ。
回らない頭でここが人通りの少ない建物の陰でよかったと思った。
「な、なっ!…あ、う…」
「ふふ。お分かりかな?お姫様?」
「ひ、め?!…はい」
「よろしい。さ、ケイトたちと合流しようか。…場所はメインストリートの方向だね」
リドル先輩はマジカメの画面を開くとチャットの内容を見せてくれた。
まさか私の言葉を引き出すためにわざとケイト先輩たちとはぐれたのだろうか。そうだったとしたらかなりの策士。
「おいで。#NAME1#」
「!!先輩…ずるい、です」
とろけるような笑みはトレイ先輩には見せないもので私にそれが特別なものだと教えてくれる。
「なんのことかな?」
「もー!」
ほんと、敵わない…あきらめて少し俯いて熱い頬をパタパタと手で仰いで冷ました。
だから先輩が近づいていたことに少し陰ってから気づいた。
「リドル、先輩?」
「敵わないのはボクの方だよ」
「あ、のっ…んっ!」
仰いでいた手を掴まれて建物の壁に縫い付けるように抑えられる。突然のことに驚いて目を白黒させているとすぐに口を塞がれた。頬に先輩の髪が当たってくすぐったいとか近すぎて恥ずかしいとか全部吹っ飛んだ。
「…ふっ…あ」
「ん…」
私を怖がらせないようにと優しく角度を変え、唇が重なる。なによりこちらを見る先輩の目が熱を持っていて、唇が重なるたびにその熱さが流れ込んでくるようだ。
息が続かず、先輩が離れたころには足の力が抜けてその場で崩れ落ちた。慌てて先輩が私の腰に手を添える。
私、今先輩にキスされた…
前のような事故でもなく、先輩の意思の。