The end of the story 【ツイステ】
第10章 Research and アクシデント
「あーあ。行っちゃった」
お気に入りのリドルさんを捕まえることができずに残念がる自身の兄弟の姿を見て、くすくすと笑いながらジェイドはふとポケットから懐中時計を取り出して時間を確認する。
時計の針は開店時間まで迫っていた。
これ以上遅くなるとアズールに怒られてしまいますね。
「ふふ。楽しい追いかけっこでしたね。
…フロイド、そろそろラウンジの開店準備の時間です。彼らと遊ぶのはまた今度にしましょう」
「はーい」
ハーツラビュルの皆さんが揃って犯人を追っているようですが、まだ誰なのかまではたどり着けてはいないようですね。ふふ、監督生さんのことも含めてアズールに報告しましょうか。
楽しげに笑った口元からは鋭い歯が覗いていた。
向こう側がどう出るのか……
あの監督生さんのおかげで楽しめそうです。
予定調和を嫌うジェイドにとって新しくきた新入生たちは面白いと思う存在たちだ。1番は魔法の使えない監督生さんですね。
「?ジェイド、なんか楽しそうだねー?」
「ふふ、そうですね。おかげさまで」
「意味わかんね。早くラウンジ行こうぜー」
足早に鏡舎へ向かうフロイドの跡を追いながらおやおやと怪しく笑うところを見た生徒は表情を引き攣らせて協調性がないと言われるナイトレイブンカレッジの生徒が相手に同情した。
***
「???」
「どうしたんだい?」
「いえ。なんか、突然寒気が……」
困惑して背筋に走った寒気に首を傾げた。
「風邪でもひいたのかい?」
「多分、違うと思うのですが……」
リドル先輩が心配そうに私の顔を覗き込むが、
おそらく違うと思うからと首を振った。