The end of the story 【ツイステ】
第10章 Research and アクシデント
向こうは完全に遊び感覚で鬼ごっこでもしている気分のようだが、気分は完全に殺人鬼のようなやべーもんに追いかけられているという恐怖感しかないのだが。
「ねぇ~~待って~~~??」
「待つわけないだろ!!総員撤退!!」
そしてここで忘れてはいけないのは私の体力のなさと足の遅さである。
「はっ…はぁっ。…う、みんな待って…」
一人だけおいて行かれるのは勘弁だが、さすがに追いつかれてしまう。
う、呼吸が…これ以上は走れないかも。
諦めかけて速度が少しずつ落ち始めたとき、誰かが私の手を引っ張って前を走ってくれた。顔を上げると真紅の髪色が揺れた。
リドル先輩…?
驚いていると先輩はその小柄ながら必死な形相で私の手を引っ張ってくれていて、きついことはそのままだけど息を切らしてちょっとずつ意識がグラグラとし始めてもその手の温かさを感じた。
気づけば追いかけてきたターコイズブルーの髪色は見えなくて、もう追いかけてきていないことに気付いた。
「けほっ…せん、せんぱい。…りどる、先輩。もうあの人、追いかけてきてません」
「はぁ…うん。そのようだね」
けど、ケイトたちとはぐれてしまったねとリドル先輩は呟いた。
必死に酸素を取り込んで息を整えようとするが、もう少し時間がかかりそうだ。先輩はさすが運動部に所属してるだけあるのかすぐに息切れは止まっていた。
静かな空間に私のぜーはーという息切れの音が響いて、なんだかあんなに感じなくなっていた気まずさが再来したようだ。
まさかこんなタイミングで二人っきりになるなんて。
「はっ…はっ…そ、その先輩」
「ん?急いでないから落ち着いて」
ゆっくり深呼吸をするんだ。と背を撫でられるこそばゆい感覚と優しい声が降ってくる。息を吸ってはいてと繰り返すとやっと呼吸が落ち着いてくる。
「あの、私。リドル先輩に話さないといけないことがあるんです」
ぎゅっと手を握り締めて見上げると先輩と目が合った。
「先輩、私ずっと先輩のこと。避けてしまってて、それを謝りたかったんです」
耳元でリドル先輩の息を呑んだ音が聞えた。