The end of the story 【ツイステ】
第2章 encounterボーイズ
あの人は自分で自分のことを優しいと言っているが、絶対に違う。自分の学校の不利益になるから外に漏らさないように私の面倒を見ようとしているだけだ。私は異世界から来たから戸籍も何もない。この学園から追い出されたら戸籍がないと働き場所も見つからないからどこにも行けない。
私はあの人から見放されると大変なことになるのが分かっている。魔法の使えない私ができるのはただグリムが喧嘩を買わないように気を配ること。
「グリム、はやく掃除しないと休憩時間がなくなって購買でツナ缶買えなくなっちゃうよ!」
「うぐぅ。でもコイツムカつくんだゾ…」
「まぁまぁ。でも、こーゆー喧嘩を買ったらそれこそ子供っぽいって思わない?」
私はそう思うんだけどなぁ。グリムはしぶしぶ納得したように頷いたと思ったが。
エースのこちらを煽るような一言にグリムの目の色が変わった。
「……チッ。ふーん。でも、
オレ、君たちと違って授業があるんで。じゃ、せいぜい掃除頑張ってねお二人さん」
校舎に向かう途中でふとにやにやと笑いながらふと振り向いて言った言葉に完全にグリムが耐えきれず、口から炎が吐き出される。
炎に驚いて腕の力が抜けた瞬間を突いてグリムに抜け出されてしまった。こうなったら喧嘩が終わるまで私の声はグリムに聞こえないんだろうな。
「ふな"あ"あ"あ!!もう我慢ならないんだゾ!」
「あぁ。やっぱりこうなったか……」
遠い目をしながら喧嘩の行く末を見守る。喧嘩を止めたくても間に入ろうとすると私までもやされてしまいそうだ。
グリムが出した炎はエースに当たりそうになるが、持ち前の運動神経の良さでひらりと避ける。
「おっと。そんなへなちょこな魔法当たるかよ!」
「避けるんじゃねえ!この!爆発頭っ!」
「ば、爆発頭ぁ?そっちこそチリチリのトイプードルにしてやるよ!」
この世界にもトイプードルいるんだ…魔法が関わると止めるのが難しい。でもこれ以上騒ぎになると学園長にバレてしまう。
「グリム!騒ぎを起こしちゃダメ!って聞いてない?!」
「ふなあ"あ"!」
「こんなの魔法で逸らしてやれば…っと」
エースが宝石のようなものがついたペンをグリムに向けると突然何もない空間から風が巻き起こり、グリムの炎を逸していく。これが魔法?!
グリムの炎以外のちゃんとした魔法を見たのはこれが初めてかも。