The end of the story 【ツイステ】
第10章 Research and アクシデント
元々色んな人から話を聞いて怪しいなとは思っていたけどいよいよ本当に怪しくなってきた。
なら一体誰が……?やっぱりそこに行き着く。
頭を捻り、記憶を探り出そうとするけれど思い出したのは少し前に見たような荒野……うん?
前に見たような……?
見たことなんてないはず。あれ?
何でここでそれ思い出したんだろう。しかも見たことあるなんて。見たことあったとしてもそれはテレビの中で。あんな乾燥した大地を踏みしめて風が吹いている感覚なんて味わえない。
見た……もしかして夢と現実が混同しちゃってる?
覚えているのは風が頬を撫でていく感覚と遠くに見える黄金色の……
頭の中で混乱し始めた頃、ケイト先輩は私たちにわざと明るい声をかける。
「まー!まー!リドルくん、そんな暗くなってもしょーがないよ。
トレイくんの怪我は残念だったけど、その分リドルくんが超頑張ればいいよね♪」
「あ、あぁ。そうだね」
「さぁさぁ。もう怪我人はゆっくり休ませてあげよ?退散退散ー」
ぐいぐいとケイト先輩は私たちの背を押して無理矢理外に出した。
***
談話室に行くとケイト先輩は笑顔を一変させ、真剣な表情へと変化し、部屋にピリッとする空気が流れる。ここまで強引に連れ出したってことは何か話したいことあるのだろうと踏んだリドルは横目でケイトを見た。
「で、ケイト。何かトレイの前では言いづらいことがあるんだろう?」
「さっすがリドルくん!……ユウちゃんたち、もしかしてトレイくんの怪我について何か知ってるんじゃない?怪我をした人に聞き込みに回っていたようだし」
情報戦じゃケイト先輩が上だ。
私たちが何のためにトレイ先輩の見舞いに来たのかも何となく知っているようで流石だ。
最近怪我をした人が多く、そのほとんどがマジフトの選手候補として名前が上がっていた人。
それに不審に思って学園長から私たちにマジフト大会に出してもらうと言う交換条件のもと、調査をするという依頼を受けたこと。
全て人の目があるところで起こっているのが共通していて、まだ証拠らしいものは見つかっていないことを話す。調査をした時に被害者から聞いた時の状況は大体一致しているので同一犯の可能性は高いとは思う。ただ、相手も証拠を残さないように行動しているからか怪しいという寮はあっても人物まで絞り込めない。