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The end of the story 【ツイステ】

第10章 Research and アクシデント



出しかけた言葉を呑み込むといろんな考えは頭の中をぐるぐると回る。……何で何も言わなかったのかなんとなくだけど、分かってしまった。
不安にさせると、責任を感じさせてしまうと思ったのか。副寮長が怪我をしたなんて知れ渡ったら寮が混乱するし、もし本当にこれが事件だとしたら相手はこんな状況を喜ぶだろう。

ケイト先輩とリドル先輩は私の表情を見て顔を見合わせる。

「…オレは本当にあの時トレイくんのことはまだ知らなかったよ」
「はい…分かってます」
「んー、まぁいっか。ほらリドルくん、後輩くんたちが話の続き聞き出そうにしてるよ」
「あぁ。すまないね、途中で話を切ったりして」

今日の昼休みの出来事をリドル先輩は話し始めた。

***

これでマジカルシフト大会の報告は全部かな。
それから寮に戻って書類の作成をしなくては、もし提出が遅れるようなことがあれば…今回は特に面倒なことになってしまう。
まぁ遅れる気など毛頭ないけれど。


「ボクは少し遅れるからマジカルシフト練習は先に始めておいてくれ」
「あぁ。分かったよ」
「じゃあ、後はよろしく……っうわっ!?」

普通に階段を降りていたはず。
それなのにふわりとボクの身体が浮いた感覚がして、すぐにガクンと落ちる。
何故か大きく足を出して降りようとしていた。

当然身体がバランスを崩し、宙へ投げ出された。

咄嗟に受け身と風魔法で防御しようとした次の瞬間、切羽詰まったトレイの声と共にぐいっと強い力で引っ張られる。

「リドル?!…っ危ない!!」

気づけばトレイはボクを庇って足を押さえていた。額に汗を滲ませていて。

大丈夫だと焦るトレイの声を聞かず、浮遊魔法で浮かせながら保健室に走った。本来のボクならここで違和感を感じて犯人を見つけられたのにね。全く情けない話だ。


***


「本当にすまない、トレイ…」
「もういいって。そもそもお前なら魔法で受け身を取れてただろ?俺が勝手に手を出しただけなんだから気にするなよ」
「でも……」

それでもと責任を感じているのか暗い顔で眉を寄せたリドル先輩を見て、エースがこっそりと耳元で話す。

「な、ユウこれってさ……」
「うん。分かってるよ」

リドル先輩とトレイ先輩はうっかりで階段から落ちるような人ではないのは分かってるよ。

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