The end of the story 【ツイステ】
第10章 Research and アクシデント
ひとまず地面に落ちてしまった手袋を拾う。すると、先輩はぱっと顔を明るくしたので合っているようだ。はいっと手袋を投げてきた先輩に落とした手袋を渡した。
「どうぞ、先輩。次は落とされないように気をつけてくださいね」
「あぁ。これは親切にどうもありがとう……って受け取ってしまったじゃないか!」
「え。違うんですか?」
「彼は決闘を申し込むために投げたのだよ!手袋が返ってきてしまっては成立しないじゃないか!!」
「……めんどくさいんだゾ」
心底どうでもいいというグリムに今回ばかりは同意だ。綺麗なノリツッコミを聞き流しながら先輩の話を聞くが、そもそもここって私闘は禁止なんじゃ…校則だって聞いたけど誰も守る気ないなぁ。
あ、リドル先輩とかは別ね。あの人ほど規律に厳しい人は中々いない。
グリムが失礼だったことは謝るけど、決闘はちょっと……。そもそも私魔法使えないからグリム頼りになるし。
「…ちょっとよくわかりませんが」
「分かってくれ!!」
「そもそも魔法を使った私闘って校則で駄目って決まってます。グリムの失礼なら監督責任のある私が謝ります。今回怪我についてお聞きしたのは学園長に最近怪我人が多いからと調査を頼まれただけですからお気に障るようでしたら文句は全部学園長にお願いします」
弱いようでいてどこか強かな監督生である。
全部保護者代わりの学園長に押し付けることといい、彼女もNRCに染まってきた証拠だ。
深く深く頭を下げると頭上から声が降ってくる。
「あの学園長からの依頼なのかい?それは悪かったね。謝罪はもういいから頭を上げておくれ?」
「あまり責めるのも美しくないからね。ポムフィオーレに入寮したものとして、美しくない行為はできないよ」
NRCの生徒って素直じゃない人多いよな。
確かに治安悪いし、絡まれると面倒だけど。根は優しい人がちゃんといる。
一体何目線という考えを頭に浮かべていると先輩話してくれる気になってくれたようでサッとメモを取り出す。
「怪我をした時のあの日の出来事を話そうじゃないか…」
「あれは実験室のことだ。薬を煮出していた鍋を彼が素手でつかんでしまい教室は騒然さ!
しかも薬をひっくり返して机の上はビシャビシャ。僕は本当に驚いたよ」
「ちょ、全部キミが喋るのかい!?」
……二人でコンビ組んでもう漫才でもやったら?