The end of the story 【ツイステ】
第10章 Research and アクシデント
「おや?ケイトに、グリム……キミまで。うちの寮に来ていたんだね」
「そうそう。エースちゃんにお願いされて寮生の部屋に案内してきたとこ!」
「エースに?」
「そうなんだゾ。オレ様たち、スマホ持ってないから代わりに連絡入れてもらったんだゾ」
「てか、まだスマホ持ってないなんてオレ考えられなーい!それでね。監督生ちゃん、学園長に頼まれて怪我をした人に聞き込みに回ってるんだよ」
いつでもスマホを手放さないケイト先輩からしたらそうなんだろうね。自分も正直今回のように連絡手段がなくて、困ったから余裕ができたら自分で買うか、それか学園長にダメ元で頼んでみようかな。
「それならボクにも声をかけてくれれば良かったのに。最近怪我をする生徒が多いのはボクも気になっていたことだからね」
「その…リドル先輩とトレイ先輩は大会前の準備で忙しいかなって思いまして」
「確かに寮長としての仕事はあるけど。大事な後輩に時間を割けないほど時間管理がなってないわけじゃないよ。それに今年のマジフト大会はオクタヴィネルが運営委員だ。それよりは仕事は少ない。遠慮なく声をかけてくれていいよ」
「は、はい」
沈黙が落ちる。ケイト先輩もこの妙な空気には気づいているだろう。
うぅ…気まずい。ここから立ち去りたい
そんな気持ちを察したようにケイト先輩が私の背を押す。
「オレ、このまま監督生ちゃん送ってくるからリドルくんお仕事頑張ってねー!!」
「あ、あぁ。気をつけて帰るんだよ」
ナイスです!ケイト先輩!!
ケイト先輩の後を追ってこの気まずい空間から抜け出した。
***
あれから避けられていることはわかっていた。
あそこまであからさまにボクの視線から逃れようとするのだから気づかないはずがない。
本人も悪いと思ってはいてもどうしても逃げてしまうのか申し訳なさそうな顔をしていた。
そんな対象としてみていなかった男にされたんだから仕方ないとは頭では思ってはいてもツキリと心が痛んだ。
そっと自身の唇を指先でなぞる。
「でも、ずっと避けられるのはボクだって傷つくよ……?」
……さてあの子も戻ったことだし、トレイの様子を見にいかなくては。