The end of the story 【ツイステ】
第10章 Research and アクシデント
「…と、いうわけでして……」
「そっかー君も苦労するねぇ。確かにうちの寮で一人怪我人がいるよ。確か部屋で休んでるから案内してあげるよ」
「助かります…」
早朝、学園長に頼まれて仕方なくその日の放課後から調査を始めた。スマホを持ってないのでケイト先輩の連絡先を知っていたエースに頼り、連絡を入れてもらった。
相手は二年だし、授業で合同にならない限り関わりもないから顔も知らない。こういう情報はコミュ力の高い先輩に頼るのが一番だ。
「マジフト大会前だから怪我人が多いのかなって思ってたけど、他の寮もなんだね。しかも、マジフトの選手候補を意図的に狙ってるって……これリドルくんが聞いたら顔赤くして怒りそー」
「あはは……確かに。その光景が目に浮かびます」
「怒りんぼリドルが怒るのはこえーんだゾ…」
「グリちゃん、それリドルくんの前で言ったら怒られるよ?」
リドル先輩って怒ると本当にイチゴのように顔を赤くして怒る。前よりもキレにくくなったのは事実だが、それでも本質は変わらないといったところか。
案内された寮生の部屋は談話室と似たような雰囲気を持つけど、物がガサツに置いてあるところは男の子部屋って感じ。
部屋のベッドには足を包帯で巻かれていてなんとも痛々しい姿の人とその側にお見舞いに来たのかもう一人寮生がいた。
「?!ケイト先輩、それに確か……」
「なんでもない日のパーティーに来てたオンボロ寮の奴らじゃねーか?」
「おー、オレ様たちもすっかり有名人なんだゾ」
……悪い意味でね。
「ごめんねー休んでるとこ。オンボロ寮コンビが君たちに聞きたいことがあるからって頼まれてオレは案内しただけだから気にしないでね」
「聞きたいこと、ですか?」
先輩を間に持ってきて正解だった、平和に話を聞き出せそうだ。リドル先輩が変わったおかげで寮生も少しは大人しくなったんじゃないかとは思ったけど、それでも喧嘩を買いかねないグリムが側にいると何が起こるかは分からないから。
「はい、学園長に頼まれて最近怪我人が多いので怪我をした時の状況を聞いてまとめるようにと頼まれまして。ご協力よろしくお願いします」
「ふーん、学園長にねー。大変だね…でも僕たちにもちょっとよくわかってないんだよ」
「分からない?」