The end of the story 【ツイステ】
第9章 Darkcloudsルームオーバー
「よぉーし!グリ坊!始めるぞー、準備はいいかい?」
「もちろん!だゾ!」
「それじゃあ、合図はお嬢さんに出してもらおうかな」
ぼーっと眺めているだけだったから急に話を振られて驚いたが、頷いて手を振り上げた。
二対二で分かれたゴーストとグリムが準備できたのを確認して手を振り下ろした。
「……それでは、マジフトの試合。始めっ!!!」
合図が来た瞬間、ゴーストさんたちはゴールまで一直線に走るグリムからディスクを奪いにやってくる。浮遊魔法は普段の移動で楽だとグリムもたまに使うが、なかなか難しいのか数分しか持たない。
その間にディスクを入れる作戦のようだけど、真正面からじゃなくてもっと裏をいった動きができれば更にできそうだ。
ゴーストさんたちは自身の特徴を十分に活かして出たり消えたりをしながらグリムを驚かせてディスクの操作を止めようとしている。経験者だというゴーストさんたちはやっぱり上手のようだ。
「ぐぬぬっ。驚かすのは卑怯なんだゾ!!」
「ディスクを持ってると狙われるのは当然だろう?」
「お前たちのそれは魔法関係ねーじゃねーか!!」
守備も魔法でやると聞いていたから確かに驚かせるのってありなんだろうか。そうやって朝の時間ギリギリまでマジフトを楽しむ彼らを眺めていると背後から唐突に声をかけられる。
「うきゃっ!!!?」
「おや?元気な声ですね。どうやら随分と驚かせてしまったようで」
「な、なんだ…学園長か。驚かせないでくださいよ……」
「ゲッ…今一番テンション下がるやつが来たんだゾ。一体何しに来たんだ?」
いつも授業で思うけど学園長は現れるの突然すぎる……特別授業と称して授業に入ってくるのやめて欲しい。主にトレイン先生とクルーウェル先生が苦々しい顔してるのに気づいてないのか?いや、気付いてたとしても知らん顔してそうではある。
全く…驚き過ぎて思いっきり声が裏返ってしまったじゃないか。
じとりと学園長を睨むが、いやーすみませんすみませんと誠意のこもってない謝罪が返ってくるだけだ。私は諦めて溜息を吐いた。
「で、何のようなんです?今月の生活費は先週いただきましたよ?」
「いえいえ、その件ではなく。実は監督生くんとグリムくんに頼みたいことがあるんですよ」
にっこりと仮面の奥で胡散臭い笑みを浮かべる学園長に嫌な予感がした。