The end of the story 【ツイステ】
第8章 Quiet story of one chapter
「お、ちゃんと来た。チョロすぎだろー監督生。でも、流石に警戒はしてるみたいだな」
「何のようですか?僕、エースたちと遊ぶ約束してるので早めに済むといいのですが」
ふむ、相手は三人か。サバナクローとポムフィオーレ。正直不思議な組み合わせではあるが、悪意ある眼差しは同じだ。ぴょこぴょこと動く獣耳が気になって仕方ないが。
「ちっ、本当調子乗りやがって。魔法使えないくせに本当なんでこの学園にいるんだ〜?どうせコネだろ?な、ちょっとでいいからカネ貸してくれね?」
「………お金は学園長から支給していただいたものです。貴方にお貸しすることはできません」
「あ゛?下級生だからってこっちは優しくしてやってんのになぁ?どうやら随分と痛い目にあいたいみたいじゃねえか!!」
ニヤニヤとマジカルペンを向ける彼ら。どうせ自分の鬱憤をぶつけられそうな相手が私ってだけだろ?魔法の使えないとかお金とか建前なんじゃないの?しかし、どうやって回避するか。ここは人気のない場所。運良く人が通りがかるかもわからない。
渋々攻撃を受けようとなるべく身を守ろうと動こうとすると今まで喋らなかったポムフィオーレ生もペンを向ける。
「キミ……シェーンハイト先輩に気軽に話しか」
「あ、ローズハート寮長!こんにちは!」
遠くからしかしはっきりとそんな声が聞こえて、私たちはぎょっと声の方向を見た。
リドル先輩が……?この時間なら寮にいるか、図書室でよく論文を探してたりとかしそうなのに。しかも、こんな人気のない場所に先輩くるかな?
「おい、ローズハートがこっちに来るって、どうするんだ?」
「げっ!流石にローズハートに見つかるとやべえぞ」
「首を刎ねられないうちに逃げるぞ!!!」
「おい!次はこうはいかないからな。覚悟してろよ、監督生!!」
バタバタと走っていくサバナクロー生を唖然と一緒にいたポムフィオーレ生と私は見送った。
そういえば結局この人、何しにきたんだ?
「あのー?」
「くっ!先輩方は忙しい人が多いんだ!気軽に声をかけないように!では!」
「????あ、はい?気をつけます…?」
えっとわざわざ注意してくれてありがとうございます……?
何が起きたのか分からずぽかんとスタスタと去っていく後ろ姿を見ていると監督生さんと呼びかけられた。振り向くとどこか見覚えがあるけど、誰だっけ?名前が出てこない……