The end of the story 【ツイステ】
第8章 Quiet story of one chapter
「その時じゃなくて……キミが薔薇の色塗りしてるときに声をかけただろう?」
薔薇の色塗り……梯子に登ってたら落ちて先輩が受け止めてくれた時の話か。
「あーそれなら別に気にしなくても。そもそも私が足を滑らせただけですし」
先輩は私を助けようとしての行為で事故だったわけだし。正直ちょっと忘れかけてたレベルで気にしてない。
「し、しかし……」
「私が本当に気にしてないんですよ。あれは事故ですから」
「でも……責任は取らせてくれ。
事故だとしてもその……女性の体に触れてしまったんだ」
し、紳士だ……
エースとグリムは私が女だと知ってからもそこまで対応が変わらなかったから不思議な感じだ。
デュースの場合はしばらく接するたびにぎこちなかったけど、もう慣れたのかいつも通りだ。
「責任と言っても……取り敢えず、図書室から一旦出ます?」
いくら図書室とはいえこれ以上話すのはと思い、促した。小さな声で話しているとはいえ、そろそろヒートアップしそうだったからな……。
リドル先輩がこくりと頷いたのを見て、机に置いていた本を棚に戻す。
ゆっくり話が出来そうなのは……うちの寮がいいかな。
「この続きはうちの寮で話しませんか?」
「あ、あぁ。わかったよ」
***
オンボロ寮に入ってみるとまだグリムは戻ってきてないっぽいな。
「さ、どうぞ?」
「失礼するよ。グリムはまだ戻ってないのかい?」
「ん、そうみたいですね」
不思議そうに首を傾げた先輩に頷く。戻ってきてたらもう少し騒がしいはずだ。
補習もう少し時間かかりそうかなと先輩を談話室に案内しようと振り向く。先輩の様子がなんかおかしい。顔赤いけど大丈夫かな……
怒ってるとかじゃなさそうけど。
「女性が二人きりになる家に男を連れ込むんじゃない!」
「え……?でも、ゴーストさんもいますよ?」
「そ、そういう問題じゃない!」
「んー?でもリドル先輩は私が嫌がることしないと思いますし、大丈夫ですよ」
何よりリドル先輩、見た目がどっちかというと中性的で可愛いよりだからなんというか同い年の女の子と接してる気分になるんだよね。
本人が聞いたらおそらく怒るかもしれないが。
「………」
「?どうしたんですか?リドルせんぱ……っ!」
しばらく黙り込んだ先輩が気になって首を傾げているとぐいっと腕を引っ張られた。