The end of the story 【ツイステ】
第8章 Quiet story of one chapter
【責任を】
ノートにペンを走らせているとガタリと椅子を引く音に気がついて、顔を上げると照明に照らされた真紅の髪がさらりと揺れていた。
「リドル先輩」
「ボクもここで本を読んでもいいかな?」
「構いませんよ?」
ありがとうと穏やかに笑う様子はやっぱり以前とは違って雰囲気が柔らかくなっている。心の余裕ができたからだろうな。
あの時は色々と大変だった。荒療治ではあったが、なんとかなって本当に一安心。
にしてもこの課題難しい……私はこの世界の歴史のことをほとんど知らない。エースに馬鹿にされるレベルには世間知らずだから地道に調べてノートにまとめるのを繰り返してはいるが、本当に何も知らないとこから……いや知ってる話もちょこちょこ出てくるけど、流石に国の歴史や王様のことなんて知らないし。
本を捲りながら問題に当てはまりそうなものを探してはいるが。んーこの本には書いてないかな?
「キミがやってるのは魔法史の課題かい?」
「あ、捲る音うるさかったですか?」
「いや?そういえばうちの一年とモンスターは一緒じゃないんだね。キミたちはいつも一緒にいるのに」
「あー誘ったんですが、部活があると断られました。グリムは小テストで赤点だったのでトレイン先生と一緒に補習です」
異世界からきたキミに勉強を教えてもらってるところを見たときは目を疑ったよとリドル先輩は呆れたように言った。ハーツラビュル寮の談話室で勉強会した時にデュースに教えた時のことかな。
「………私、別に真面目じゃないですよ。ただ自分は魔法が使えないからその分座学で頑張らないと行けませんから。それに私がしっかり理解できてれば、グリムたちに教えることができます」
「そうか…」
「?……リドル先輩、そういえば私に何か用があるんですか?」
まだテスト期間じゃないけど、名門校なだけに自習している人はいるにはいるが。それでも他にも空いてる席は沢山ある。
用があるからわざわざ私がいる席を選んで声をかけたのかと思ったのだけど。
そう思ってリドル先輩の顔をみると少し青みがかった瞳が泳いでいる。当たってるかな?
「その……用はあるんだけど……」
「??」
「う…キミに謝りたいことがあるんだ」
「え、でもそれならパーティーの時に聞きましたよ?」
エースが話を振ったときに謝罪ももらったはずだ。パーティーの片付けでの出来事を思い出す。