The end of the story 【ツイステ】
第8章 Quiet story of one chapter
随分と急いでいたのかいつもより頬に赤みが増している。
「一年の子が先輩に届けものあるけど居場所がわからないって言われて受け取っておいたんです」
「届けもの?」
頼んだ覚えもにゃーし、一体どこから来たんだと宛名を確認すると目を丸くしてしまう。
その宛名にはナイトレイブンカレッジ、オンボロ寮監督生と書かれていた。
脳裏に先程パーティーであった時の姿が思い出される。低めな幼馴染の背よりも小さいせいで大分幼く見える女の子。
なんであの学園にいるのか分からないけど、初対面の時に道に迷って不安そうに周りを見回してる様子を見てつい姿を現したことを思い出した。
「宛名見ちゃったんですが、ナイトレイブンカレッジからなんて珍しいですよね。それにオンボロ寮の監督生って……そんな寮、あの学園にありましたっけ?」
「来たんだからあるんじゃにゃーの?ほいじゃ、届けてくれてありがとうにゃ」
ひらひらと手を振って立ち去る先輩に思わずネージュは苦笑する。
相変わらずよくわからない先輩だなぁ。
真実は自分の目で確かめろってことかな?
ふふ、オンボロ寮の監督生さん、か。会えるの楽しみだなぁ。いい子だったら仲良くなりたいかも。
そう遠くない未来のことを考えてネージュは小さく笑った。
『チェーニャさんへ
パーティーのときにまさかチェーニャさんがくると思わなかったので助けてもらった時のお返しを渡せなくてごめんなさい。
ロイヤルソードアカデミーの方だとあの時初めて知って、学園の方に送ることにしました。
トレイ先輩のケーキには劣るけど、美味しくできたのでよかったらどうぞ。もし、また会えたら一緒にお話ししたいです。
ナイトレイブンカレッジのオンボロ寮監督生
ユウより』
チェーニャは参ったにゃーと呟く。お人好しで恩は忘れずに返すってどうしてあの闇の鏡に選ばれたのか分からない。
自身の幼馴染も面倒見がよくてもあの食えない性格があるにゃ。
「次に会う時はどうやって驚かせようかにゃー。にひひ」
ユニーク魔法でまた驚かせる計画を立てる。それ言う自分もこの学園では珍しいタイプなのを自覚しながら。リドルの様子を見にちょくちょく学園に侵入してたけど、もうそれも必要ないかもしれにゃいから次に会えるときを楽しみにしようかにゃ。
ついっと口元に弧を描いた。