The end of the story 【ツイステ】
第8章 Quiet story of one chapter
「自分もそう思います。ジャミル先輩って本当になんでもできますよね……気配りができて料理も上手で頭もいいですし、確かバスケ部で運動神経もいいんでしょう?」
「だよな!ジャミルは凄いんだぜ!」
「あーもう。俺の話はいいから…ほら続きやるぞ」
手が止まっていると指摘されてタルトに向かうけど、カリム先輩のジャミル先輩自慢が続き、相槌を打ちながら話を聞いているとジャミル先輩が途中でストップをかけた。
「カリム、集中しようとしている人を邪魔するんじゃない」
「あぁ。悪い悪い、ついな」
ジャミル先輩の耳が少し赤くなっているのを見つけて、目を瞬かせる。もしかして先輩少し照れてる?
先輩のアドバイスを聞きながらそっと口金に手を添えてクリームを絞り出すと特徴的な細い線のようなクリームがタルトの上に落ちていく。
形がなるべく崩れないようにと慎重に。
「それが終わったら最後にマロングラッセを乗せて終わりだな。お疲れ様。少し休憩にしよう、お茶をいれてくる」
「あ、ならオレがお茶をいれるぜ!ジャミルは休んでてくれ!!」
「主人に給仕させるわけないだろ!お前は大人しく座ってろ!!」
すごい勢いでカリム先輩をその辺にあった椅子に一度座らせると茶葉を手に取ってお茶をいれ始めるのを横目に出来上がったマロンタルトを眺めた。流石にホールで作ると量が多くなるのでプチガトーのように小さなタルトを作ろうと決めたけど、やっぱりこの大きさで丁度良かったな…。
カリム先輩とジャミル先輩に許可を取ってスカラビアのお皿の上にできたタルトをのせた。
「ん?このマロンタルトはプレゼントにするんじゃないのか?」
「確かにしますが、これは先輩たちの分です。あ、もしかしてやっぱり毒とかが心配ですか?」
「いや、ジャミルとお前が作ったものだしそれは心配してない。本当にいいのか?」
きょとんと大きい瞳が私を不思議そうな目で見ていた。もちろんですよ、だってそのために六つ作ったから。それにお茶に茶菓子は必要でしょ?
「はい。先輩が良ければ一緒に食べましょう?」
「!!おう!」
カリム先輩は驚いたように僅かに目を見張ると少ししていつもの眩しいくらいの笑顔が返ってきた。
う、顔がいい。太陽かな?
お互いニコニコとしながら先程のジャミル先輩の話を先輩が戻るのを待っていたら何やってんだお前たちと呆れられてしまった。