The end of the story 【ツイステ】
第8章 Quiet story of one chapter
その従え方はかつてリドルを縛っていたリドルの母親の教育方法を彷彿とさせるもので止めなくてはと思いながらもリドルのことを考えると止められず。寮生たちが不満を持ち始めていつ爆発したっておかしくないと思い始めていた時も俺はリドルを止めないで静観していたのだ。
だから正直図書館で言われたエースの一言は苦しいくらいに響いた。あいつはそのつもりで言ったんだろうが、針で心臓を突き刺されたような言葉を聞いて改めて自分の行動が本当にリドルのためなのか考えたら……あの言い訳は全部自分に言い聞かせるためのもので。
結局は俺も寮生と同じようにリドルを恐れて……いや、俺の一言で幼馴染の関係も壊れることを俺がただ恐れて本当のことを言うのを避けていただけだった。
「……今年の一年はきっとこれからも力をつけて行くだろうな。なったって…俺たちも経験のしたことないオーバーブロットに恐れず立ち向かう勇気と強さがある」
そしてその中心にいるのはきっとあの少女……監督生なんだろう。
命の危険に晒されても咄嗟に動いて、自分も恐怖で足が震えているだろうに慣れてないなかで俺たちに指示を出してくれた。
学園長も凄い子を入学させたものだな。
きっとあの子の存在は良い意味でも悪い意味でもこの学園を揺り動かすだろうから。
そして、自分も彼女に動かされた一人だ。
リドルに親のことを言われた時と何でもない日のパーティーでリドルに啖呵を切ってタルトを奪い取ったとき。監督生は怒りを堪えて冷静に自分の言い分を言っていた。
俺には出来なかった行動はその結果リドルの考えを改めることに繋がった。俺の魔法は魔法を上書きできる。ずっとリドルを止めたかったからこそできた魔法なのに結局は後輩たちのおかげでその効果を発揮できた。
年上なのになんだか情けないことになってしまったな。これ以上失望されないように俺も頑張らないとな……
リドルの部屋の椅子に座って取り止めのないことを考えていると、ガチャリとドアの開く音が聞こえて顔を上げるとリドルが丁度部屋に入ってきている。
俺に気づくとリドルが不思議そうな顔をしていた
まぁ、事務的なことでしかリドルの部屋にはあまり入らないからな……。
「どうしたんだい?トレイ。まさかとは思うけど副寮長の君が何か分からないことでもあったのかい?」