The end of the story 【ツイステ】
第8章 Quiet story of one chapter
【パーティーの終わり】
なんでもない日のパーティーの片付けも終わりが見えてきたな。毎度毎度大変だったけど、前回の忙しさに比べたら全然平気だ。
あの時はリドルに不満を持つ寮生ばかりで片付け作業を手伝ってくれる生徒が少なくて人手がほとんど足りなかったんだよなぁ。
リドルの機嫌も悪くてケイトがご機嫌取りを頑張ってくれたのは本当に助かった。
色々ありすぎて目の回るような数週間だったけど終わって仕舞えば寂しいものだ。
俺がようやくパーティーの片付けを終わらせると一人の寮生がおずおずと声をかけてきた。
「あの……今、お時間よろしいでしょうか。トレイ先輩」
「ん?なんだ、何か分からないとこあったか?」
こいつは……二年で見たことないから恐らく一年だろうと思い、そう声をかけるが寮生はふるふると首を振る。
「違います、トレイ先輩とリドル寮長に渡して欲しいと監督生さんからこれを受け取ったんです」
自分、監督生さんとは同じクラスなんですと続けた寮生の手元には白い手提げ袋が握られていた。監督生は確かついさっき帰ったはず。
俺がまだ忙しく作業してたから直接渡せなくて手の空いた顔見知りの寮生に渡したのか。
エースとデュースに託さなかったのは少し意外だ。初めて会ってからそう時間は経ってないけど、随分と仲がいいみたいで先輩の俺としても見てるだけで微笑ましくなるコンビなんだよな。
そんなことを思いながら寮生から袋を受け取った。
「中身は知りませんが、監督生さんからの言伝で隠し味のオイスターソースは入ってないので安心して食べてください。だそうです……」
一体なんのことなんだろうと何も知らない寮生が呟くのを聞いて、思わず吹き出した。まさかここでその話を聞くことになるとは……
肩を震わせる俺に目を丸くする寮生を見て、なんとか堪える。
「す、すまん。監督生からの届け物、確かに受け取った。わざわざありがとな」
「!いえ、それでは僕は先に寮に戻ります。お先に失礼します」
ぺこりと会釈して立ち去る寮生を見送る。ひとまずリドルと俺宛みたいだし、あいつの仕事ももう少しで片付くだろうからリドルの部屋で待ってるかな。
ぼーっと考えるのはあの時のこと、リドルのやり方はユニーク魔法を使った恐怖で縛る従え方では長く続かないだろうと思って、俺が選択権をリドルに委ねすぎていたのが原因だった。