The end of the story 【ツイステ】
第7章 Redrulerサルベーション!
「チェーニャの魔法に気付くなんてすごいな…俺でもたまにチェーニャには驚かされるぞ」
「チェーニャさんが使った魔法って姿を消したりはできても存在そのものを消すことはできないんじゃないかと思いまして。実際、席を立ったように見せかけて寮生がいなくなって出ていきやすいタイミングを見計らっていたようですから」
「なぁなぁ、そんなことよりもっとケーキをよこすんだぞ」
「なっ!ちょ、毛玉!そんなに食べたらオレらの分がなくなるだろ!」
頬が丸くなるくらい頬張りながらケーキをパクパクと食べるグリムの首根っこをエースが掴む。これだけたくさんあるからすぐには無くならないと思うけど、その分今日の夕ご飯食べられるか少し心配だな。でも、グリムのことだからそっちも全部平らげそう。
「おいおい、そんなに急いで食べなくても大丈夫だ。他にもケーキはあるから喉を詰まらせないように気をつけろよ」
「もートレイくん。それじゃお父さんみたいだよ〜」
そうか?と首を傾げるトレイ先輩にリドル先輩はくすくすと笑いながらティーカップを持った。甘い甘いスイーツの匂いと優しい紅茶の香りと共にパーティー会場に穏やかな時間が流れた。
私の分のケーキまで狙おうとするグリムからケーキを守りつつ、カメラを取り出した。
学園長のいう報告書代わりにだけ使うのは勿体ない。
こんな日の写真はきっといつかいい思い出になる。
パシャリ
ゴーストカメラで撮った写真にはみんなのいい笑顔が並んでいた。
***
「ごめんね、片付けまで手伝わせちゃって…」
「ほんとだゾ…オレ様と子分は招待客だっていうのに。なんでこんなことしなきゃならないんだゾ…」
「もーそろそろ文句言うのやめなさい。大体手伝うって決めたの私だから先に寮に戻ってていいよ?」
手伝いはもう少し時間かかりそうだしと付け加えるが、「オレ様の子分がどーしてもって言うんだから仕方ないんだゾ」とグリムは笑った。
お、親分………。
最初の頃に比べたら随分と丸くなったグリムに感激のあまり泣きそうだ。
涙目になる私にエースは呆れて、デュースは心配そうに駆け寄ってくる。
「どうしたんだ?ユウ、どこか痛いとこあるのか?」
「デュース、私。そんな子どもじゃないから痛いくらいで泣かないって」
オロオロと私の様子を確認するデュースに泣きそうなのが吹っ飛んだ。