The end of the story 【ツイステ】
第7章 Redrulerサルベーション!
でも、確かに普段からこんな立派なケーキを作る人が隠し味だと言うなら信じちゃうのかな。
目の前に並ぶトレイ先輩の作ったケーキをみて思った。
う、まだ口にしょっぱいの残ってる……。
グリムは一度は味に驚いていたけど、今はパクパクと平気そうに食べている。こういうものだと思って仕舞えば、良いのだろうか。
「ユウちゃん。カップ貸して、紅茶のお代わりでしょ?」
「あ、そうです。すみません、お願いします」
「いえいえー」
ケイト先輩にいれてもらった紅茶を一口飲んで、なんとか口の中がリセットされる。
「リドルくん…これ隠し味ってレベルじゃないよね……一体どれくらい入れたの?」
隠し味が隠れてないです。むしろ表面に出てます。
「だ、だって、適量とか言われてもわからないだろう?何cc使うのか正確に教えておいてくれないと……」
「あー。確かに料理を普段からしないと適量って分かりづらいですよね……」
特にこういうお菓子だと一度作ってしまうと味見って難しいし、料理なら自分の好みで味を変えられるけど。
「プッ、あはは!まさか、あの冗談を真に受けて本当に入れる奴が居たなんて……あははは!」
トレイ先輩……貴方が原因なのに……
そんな笑わなくても……。
珍しく大きな声で笑う幼馴染をみて唖然としていたリドル先輩もつられるように一緒になって笑い出した。年相応で無邪気な笑い声が庭園に響く。
寮生たちが驚いてこちらを見ているのにも関わらず、笑い続ける先輩たちになんだかこちらも面白くなってくる。
「なんかもう、不味すぎて笑えてきたな」
「つーか、こりゃもう笑うしかなくね?ははっ」
「もー。そんなに笑ったら……ふふ、先輩に失礼だよ?」
「お前も笑ってんじゃんかー」
だって先輩の二人の笑顔を見てるとだんだんつられちゃうんだもの。
「でもこれはこれで美味いんだゾ?こーいうのだと思えば」
「うんうん。案外悪くないよね」
「え…ケイト先輩までグリムと同じことを……」
「ちょ、未知の生命体を見るような目やめてよぉ〜」
だってこのタルト、紅茶で流し込まないと食べられないくらいしょっぱいよ?
若干引いた目でケイト先輩を見てしまった。人間よりも雑食なグリムと同じで美味しいなんて。
「このタルトは甘くないから悪くない、だろ?」
「えっ?」