The end of the story 【ツイステ】
第7章 Redrulerサルベーション!
「エース…。でも、トレイ先輩の言う通り本当に綺麗に出来てますよ。初めてでこんな本格的に作れちゃうなんて凄いです」
「お前もかよー」
「これは甘やかしじゃなくてちゃんと本心から思ってるからいいのー」
自分だったら初めてのお菓子作りでタルトを作ろうなんて思わないからリドル先輩は本当に凄い。所々失敗したところはあっても形になってるもの。
私だって初めて作ったプリンは上手く固まらなくてドロドロになったり、カラメルが煮詰まりすぎて苦かったりと散々だった記憶がある。
「ま、やっぱり味だよねー。早速実食といきますか」
「あ、レアなタルトの写メが撮りたいから切り分けるのちょっと待って!」
「……ケイト先輩もブレないですね」
ケイト先輩はスマホのシャッターを切る。良い写真が撮れたみたいで満足そうだ。トレイ先輩が切り分けてくれたタルトは私たちの元にも渡った。
「んじゃ、いっただっきまーす」
「いただきます」
フォークで一口分を切り分けてタルトを口に運ぶ。
「はぐっ!」
「…んっ?!これは……」
苺の甘酸っぱいのと一緒に
とんでもないくらい塩辛いタルトのクリームが口いっぱいに広がった。
みんな口々に叫ぶ。あまりのしょっぱさに顔色を変えて紅茶でタルトを流し込んだ。
「ォエッ、めちゃくちゃしょっぱい!何入れたらこうなるわけっ!?」
「見た目は完全にタルトなのに……まさか塩と砂糖を間違えるなんて典型的な間違いをリドル先輩がするわけない……はず」
「ぇええ!?そんな!厳密に材料を測ってルール通りに作ったはず!!」
みんなの反応をみて慌てて先輩は出来上がったしょっぱいタルトを見た。思い出したかのように顔色を変えて呟いた声を私は聞き逃さなかった。
「ま、まさか…オイスターソース……のせい?」
「えっ!?それってもしかしてトレイ先輩が教えてくれたオイスターソース……?」
「クローバー先輩が教えてくれたって……セイウチ印の……?」
「だってトレイが昔、レシピには載ってないけど美味しいタルトには絶対隠し味でオイスターソースが入ってるって……」
リドル先輩の言葉でトレイ先輩がマロンタルトを作る途中で言っていた冗談を思い出した。それで信じちゃうリドル先輩、本当に真面目だな……
一度でも疑問に思って調べたりしなかったのだろうか。