The end of the story 【ツイステ】
第7章 Redrulerサルベーション!
こんなすぐ分かる場所に塗り残し!!?
「げっ!塗り残し!!」
「り、リドル……これは…」
「もー!エースちゃんたち、ちゃんと薔薇塗ってって言ったじゃん!!」
「え、僕たちのせいですか!?他にも薔薇を塗る寮生はいましたよね!!」
法律の何条かは分からないけど、なんでもない日のパーティーの薔薇は赤と決まっているらしい。
これは完全な法律違反だろう。
慌てる私たちを前にリドル先輩はクスクスと笑う。
「もう薔薇の一本や二本で罰したりしないさ」
「え、マジで!?リドルくん、寛大!」
「みんなで塗れば早いからね」
「って塗るのは変わんねーのか!」
「まぁまぁ……でも、リドル先輩らしいと思わない?」
塗り残しの元に集まるとみんなはマジカルペンを構える。流石に私の分のペンキは会場においてなかったから今回は見学だ。
リドル先輩以外はマジカルペンを構え、寮長のリドル先輩は杖を構えた。
この数日で大分手慣れた作業の薔薇塗りは誰も失敗することなく、スムーズに進んでいく。リドル先輩が杖を一振りするといくつもの薔薇が同時に真紅に染まっていく。実践魔法は得意だという言葉通りだ。トレイ先輩とケイト先輩の方が学年が一つ上というのにも関わらず誰よりも正確で早い。
「よし!これで準備はできたね。なんでもない日のパーティーを始めよう!」
***
「誰の誕生日でもない『なんでもない日』を祝して!乾杯!」
リドル先輩の声に合わせて私たちはティーカップを掲げる。庭園に寮生たちの楽しげな声が響き渡った。
おー。あまり紅茶に詳しくない私だけど、この紅茶は香りが良くて好きだな。
口元に持っていくとふわりと鼻を擽るフルーティーな香り。思わず頬が緩む。
「そんで…結局寮長は詫びタルト作ってきたの?」
「ちゃんとつ、作ってきてきてるよ。
……このタルト。この苺のタルトはボクが作った」
先輩が指差したのは沢山のキラキラと輝くケーキたちに囲まれて少しだけ浮いているタルト。タルト生地は少しだけ焦げてて、苺の形も切り方が上手くいかなかったのか少し大きなものもある。
「形は少し不恰好でも苺の艶を出すナパージュを塗る手間もかけてる。リドル、初めてにしては上出来だよ」
「はい、トレイ先輩の甘やかし入りました〜」
エースのツッコミに苦笑しながらリドル先輩の作ったタルトを眺める。