The end of the story 【ツイステ】
第7章 Redrulerサルベーション!
「…はっ!」
「あ、やっと目ぇ開けた!」
「起きないかもってマジ焦ったぁ〜〜〜!」
ローズハート先輩が目を開けたのを見てそっと後ろに下がる。起きてよかった……これで目を覚さなかったらと想像して背筋が寒くなったくらい、怖かった。
トレイ先輩に起こされて先輩は戸惑いながら荒れ果てた庭園を見回した。
「これは…一体……ボクは……」
「どうやら正気を取り戻せているようですね。よかった……」
「今は何も考えなくてもいい。寝てろ」
「あーあー。そうやってトレイ先輩が甘やかすからこんな風にちょっと怒られたくらいで暴走しちゃうんですよ。庭はめちゃくちゃでオレたちだってヤバいところだったんだからな!」
「んーまぁエースの気持ちも分かるけど…このタイミングでそれ言うかー」
エースの言う通り、庭はそこら中に薔薇の木が横たわっていて、根っこごと持ち上げられたから地面は芝生が剥がれてボコボコ。
私たちもオーバーブロット状態の先輩の攻撃からギリギリのところで避けて、何度か死にかけだわけだし。
グリムのストレスを溜めると碌なことがないというのは同意する。叔母さんもストレスが溜まるとイライラして、ちょっと面倒な癖もあったからなぁ。
うっ。嫌なの思い出した……。
「……………ボク………本当は、マロンタルトが食べたかったんだ」
「へ?」
「薔薇は白だっていいし、フラミンゴもピンクでいい。お茶に入れるのは角砂糖より蜂蜜が好きだし、レモンティーよりミルクティーが好きだ。
みんなと、食後のおしゃべりだってしたい……」
いきなりポツリポツリと今まで言えなかった分を吐き出すように話す先輩の目元には涙が溜まっていく。
そんな先輩を見て私たち、トレイ先輩でさえ目を白黒させる。
「ずっと、もっとトレイたちと、遊びたかった!!」
ぼろぼろと溢れ出す涙を袖で拭いながら本音を叫ぶ先輩に先輩をよく知るケイト先輩も唖然としている。
いつもの王様然とした寮長としての姿じゃない。
止めようとしても止められない涙を拭ってしゃくりをあげる姿は体だけが成長してしまった幼い男の子に見えた。
「ちょ、こら!泣いて許されると思うなよ!」
「お前、大概空気読まないよな」
「あははは……」
やれやれとデュースは呆れているが、自分も読めない時あるのでなんとも言えずに苦笑した。