The end of the story 【ツイステ】
第7章 Redrulerサルベーション!
何も知らなかったボクに籠の中から連れ出すように引っ張られて部屋から抜け出した。
お母様に内緒で。
ある日、家がケーキ屋だというトレイの家でずっと食べてみたかったタルトを食べてしまった。まるで宝石のように輝く苺がのったタルト。
一口食べたタルトは本当に甘くて、幸せの味がした。
言いつけを破った幼いボクはそれでも分かっていたんだ。ルールを破ってしまった罪悪感。
だからいけなかったんだ。
トレイの家で自習時間を過ぎていることに気づいて青ざめて帰った頃にはもう遅かった。
部屋で顔を赤くして怒るお母様の姿にボクを背中を丸くして高い怒鳴り声を溢れてくる涙を拭いながら聞いていた。
「ごめ、ごめん…なさい!お母様!!
もうしないから許して……」
「お黙り!お前がルールを破ったからいけないの。
はぁ…これじゃダメね。自習時間を与えるんじゃなかった」
もっと完璧に管理しなくてはとお母様の呟く声は幼いボクにとって奈落の底に突き落とされた気分だった。
もう苺タルトを食べることはできない
何よりトレイとチェーニャとはもう二度と遊ぶことができないのを悟った。
ルールを破ればボクの楽しい時間まで無くなってしまうから。お母様のルールにはちゃんと従わなくちゃいけないんだ。
でもね……ママ。
ボクはお母様に決められるんじゃなくて、やりたいことは自分で決めたかった。
お誕生日だけでいい、だから美味しいタルトが食べたい。お外でいっぱい遊びたい。
トレイとチェーニャに会ってまた一緒に遊びたい。
それにもっと友達が欲しいんだ。
どうしたらこの苦しみは無くなるのだろう。
そんなじくじくとした胸の痛みはあの下級生たちに言われた言葉で更に広がった。
楽しみにしていたタルトを食べるだけじゃあきたらず、幾度も規則を破り反省の色が見えない彼は今までボクが寮長になってから恐れるように従っている寮生とは何かが違った。
そして何よりあの子だ。
初めて会った時は自分より背が大きい人が周りにいたせいで背の小ささに見るものに小動物のような印象を与えた。お金のことやこの世界のことを何も知らない様子にボクの口から困ったら助けるなんて約束を出してしまうくらい。
プルプルと彼が咳き込んでいた時もその小さな体に驚いた。