The end of the story 【ツイステ】
第7章 Redrulerサルベーション!
先輩…その言葉はエースたちにとっては悪手です。それは彼らをさらに燃え上がらせる種の一つ。
少し離れていた私たちにも先輩の呟いた声ははっきりと聞こえた。ルールのことや彼の母親の言動がすべてだというものに反論しようと前に出ようとするが、ケイト先輩に止められる。
「先輩、行かせてください」
「ダメ。オレは君の友達から君を守るように言われているんだ。それに今君が口を挟むのは火に油を注ぐようなものだ」
首を振っていつもの笑顔を消したケイト先輩が真剣な表情で私の腕を掴んだ。私の友達ってエースとデュースか。
ドワーフ鉱山でのことを思い出して、こんな状況なのに胸が温かくなるのを感じた。
「確かに、ルールは守るべきだ。でも、無茶苦茶なルールを押しつけるのは、ただの横暴だ!」
「…ルールを破れば罰がある。そして、この寮ではボクがルールだ。だから、ボクが決めたことに従えない奴は、首をはねられたって文句は言えないんだよ!」
先輩の言葉に思わず息を呑んだ。不味い流れになってきたのを感じて青ざめる。
確かに先輩の言うように集団生活に規則は必要だ。いずれ誰かがまずいことをやらかした時のためにも線を引いておかないと全体が崩れるという意見は同意するけれど、だからといってこれはやりすぎだ。
寮生は恐怖で意見も言えない。その取り締まる側のやり方が間違ってることを伝える人がいないから悪化していく。
「先輩…貴方が魔法封じを使う時、罰を受けた寮生がどんな風に思ってるのか考えたこと…ありますか?」
「ちょちょっと!ユウちゃん!」
「はぁ?何を言ってるんだキミは……」
初めて向けられた冷たい視線に針で刺されたような痛みを感じた。隣でケイト先輩が慌てて前に出ようとした私を背中に隠そうとするが、それでもめげずにまっすぐとローズハート先輩の目を見つめる。
「先輩がルールを守ろうと厳守しようとするのは別に構いません。それが貴方にとっての信念なんでしょうから。でもそれに無理矢理他人を巻き込むのは違う!」
「キミまでそんなことを言うのかい……?」
グリムが相変わらずきついこと言うなと呟いた声で我に返った。わなわなと肩を震わせる先輩の姿に更に続けようとした言葉を呑み込んだ。
やばいもしかして言い過ぎた?慌てて先輩の顔を見ると怒るというより悲しげな表情に見えた。