The end of the story 【ツイステ】
第6章 Crazyパーティー!
夢だからなのか、目の前の少女に触ることができない。向こうが透けてんじゃない。私が透けてるから触らないんだ。
「何が女王陛下よ!あなたは我が儘で底意地の悪い暴君じゃない!」
「お前、今なんとお言いだね?」
「そうだ!女王陛下に向かってなんと失礼な娘だ!」
怒りを堪えて肩がふるふると震えている女王の頭上にはニヤニヤと笑う猫は不敵に笑いながら少女の言葉を繰り返した。
女王は怒り狂い、同じ裁判を聞いていたトランプは女王の命令で少女に飛びかかった。
首を切れと叫ぶ声の中で私は少女を見て、それから赤く顔を染めて怒る女王の前に立った。
今までの夢、少しずつ思い出してきたけどトランプたちは女王に対して不満はあっても処刑されるのは嫌だと隣にいる王でさえ女王の間違いを教えない。
きっと彼女はずっとそうやって生きてきたのだ。
否定するものがいない中で更に抑圧したことで今の今まで少女のように間違いを伝える人がいなかったのだろう。
「……先輩と女王はそっくりだ。女王は結局気づけなかったかもしれないけど、先輩なら変えることができる。…きっと」
私は今更何も変えられないから。
***
ふと目を覚ますとようやく見慣れてきた部屋のベッドの上。グリムはまだ寝ていたから起こさないようにそっと降りて制服に着替える。
昨日話し合った結果、早く首輪を取るためにもと決闘は今日の放課後だったはず。私は何もできないのになんだかソワソワしちゃうな。
香水をかけて部屋を出るとふわりとゴーストたちが現れた。
「おはよう、グリ坊はまだ起きてないみたいだね」
「あはは…まだぐっすりと寝てるので起こさないようにね」
私も寝起きはいい方と言えないけどグリムは寝るのが早いくせに起きるの遅いんだよね。
「エースとデュースは起きてる?」
「いや、まだだよ。どうやら昨日は魔法をスムーズに出せるように練習していたみたいだ」
喧嘩しないで真剣にやっていたみたいだったとここ数日二人の様子を見てきたゴーストさんたちは微笑ましげに笑った。
「君たちくらい若くないとこのぐらいのヤンチャはできないからのぉ。気づけばあっという間にわしらのようなゴーストになってしまうぞ」
「若いうちに楽しまないとってことですか?」
「そういうことじゃ」
相変わらずのゴーストジョークに笑いながらキッチンに向かった。