The end of the story 【ツイステ】
第6章 Crazyパーティー!
「あ。そうそう。この後、エースたちと図書館でトレイ先輩に会うことにしているので会いにくいならここから立ち去った方がいいですよ」
にっこりと笑うと先輩は大きく目を見開く。しばらくして先輩はこくりと頷くと本棚の影に消えた。
さーて。あとはどうなるかだな。
ここまでお膳立てしたんだ。先輩が変われるきっかけになればいいけど。
ぺらりと本のページをめくった。
内容を見て小さく息を吐く。
あぁ、ダメだな、この本も。
____早く元の世界に帰らないといけないのに。
私がこの世界に情を持ってしまう前に。
***
「あ、二人とも。グリムはちゃんと補習終わったみたいだね」
「くそっー!トレインは本当厳しーんだゾ!」
「起こそうと声かけたのに起きなかったんだからグリムが悪いでしょ」
エースたちの足元をパタパタと走ってくるグリムは文句を言いながらやってきた。何気にグリムと図書館に来るのは数日ぶりだ。
あの時は何がなんだか分からなくて必死だったなぁ。
「ユウ、それは何やってるんだ?」
「明後日提出の魔法史の課題」
「げーっ!お前って本当真面目だなー」
「?そうかな。私はこの世界の歴史や地理について聞くの結構楽しいよ」
特に元の世界での話との差異を調べるのが。
悪役の話が全くの美談に変わってるところとか。
まじかよと引いた顔をされたが、まぁ私も元の世界の地理は得意とは言えなかったし。似たようなものだ。
「二人が私の世界の歴史知ったらあまりにも血みどろだからきっとびっくりすると思うよ。それと一緒」
「そうかー?」
「想像がつかないな…」
不思議そうに首を傾げているが、実際この世界ってハッピーエンドがほとんどで戦争になったとしても核兵器のような人が大量に死ぬようなものを使わないんだ。基本魔法。
しばらく邪魔にならない程度に小声で談笑してると
製菓の棚に誰かが通ったのを見て小走りに駆け寄った。
「トレイ先輩」
「!!君たちか」
「図書館で待ち伏せしてれば、タルトのレシピ本を返しに来ると思っていました」
「オレらやっぱり寮長のやり方に納得いかねーよ」
小声で話しかけた私たちの声は静かな図書館で妙に響いて聞こえた。トレイ先輩は私たちが声をかけにくるだろうと踏んでいたのかそこまで驚いてはいない。
先輩はだろうなと一つ溜息を漏らすだけだった。