The end of the story 【ツイステ】
第6章 Crazyパーティー!
「マロンタルトだって!?信じられない!!?」
「ええっ!!」
「ハートの女王の法律・第562条『「なんでもない日」のパーティーにマロンタルトを持ち込むべからず。』。これは重大なルール違反だ!なんてことをしてくれたんだ!」
完璧なパーティーが台無しだ!と怒るローズハート先輩に私たちはぎょっとした。
562条!!?え、法律ってどんだけ沢山あるの?
「562!!?一体何条あるんですか!?」
「全810条。ボクは全て頭に入っているよ。寮長なんだから当然だろう」
ひぇ…810条もあるの?私には想像もできない数。
それを全て覚えているという先輩に唖然とした。
そもそも私たちにマロンタルトを勧めた先輩方もそんな法律があることを知らなかったようで明らかに動揺している。
私も完全に油断していた。私がもっと早く記憶を取り戻せたらこんなこと避けられたのに。
「ハートの女王の厳格さを重んじるハーツラビュル寮の寮長であるボクが、この違反に目を瞑るわけにはいかない!マロンタルトをすぐに破棄しろっ!」
「破棄……?そんな……」
「こいつらを寮外へつまみ出せ!」
カタカタと体が震える。怯えじゃない。
あんなに尊敬していた先輩が私たちの作ったタルトを破棄しようとしたことに対しての怒りと悲しみだ。
私たちが寮に出て行くのは分かった。けど…マロンタルトを受け取れないなら別の日に受け取るからと今は返せばいいのでは?
私の異変に真っ先に気づいたグリムが首を傾げて顔を覗き込んだ。
「子分。どうしたんだ?さっきから様子が変なんだゾ」
「……じゃないの?」
「子分?」
ふらりと立ち上がる私にわけが分からないのにグリムはついて来てくれた。
トレイ先輩とケイト先輩がローズハート先輩の前にエースを庇うように立つと怒りを抑えるために謝っているが、先輩は聞く耳も持たず怒っている。
言い争う声の中に混じる先輩へ対する不平不満の囁き声。寮生たちによるものだ。
全て寮長に聞こえないように言っている。みんな首を刎ねられるのが怖いからとはっきり訴えることができなくて、それで今に至る。こんなんじゃエースのように次は誰が爆発するかわからないな。
段々と空気が悪くなって行くのがわかる。歩みを進めてトレイ先輩の横に並んだ。
「先輩はどうしてそんなにルールに拘るんです?」
それは私の単純な疑問だった。