The end of the story 【ツイステ】
第5章 Spray パヒューム
確かにグリムの言う通りだ。
喧嘩は良くないことだけど、相手の方が悪かった時それを我慢するのがいいことなのか私には分からない。
「オレ様だってさっきのやつらにあと十発はパンチしたかったんだゾ?まぁその前にデュースがやっつけちゃったけど」
「うん。グリムという通りだと私も思う。
喧嘩は良くないことだと思うし、私は暴力で解決するのは好きじゃない。でもそれはそれとして……アイツらには腹が立ったし、むしろ殴ってくれて清々したよ」
だからありがとう、デュースと中々目が合わなかったデュースと目を合わせて笑うと一瞬目を見張ってふわりとようやく笑ってくれた。
うん。いつものデュースだ。
先輩たちにぶつかってきたこと謝らせるの忘れてたと追いかけに行こうとするデュースを止めてから新しい卵を買いにまた購買へ戻ることになった。
気持ちは嬉しいけど、これ以上は学園長にバレそうなので。
「じゃ、卵買い直しに行こっか」
「あぁ。これでヒヨコたちも安らかに成仏してくれるよな」
「ヒヨコ……成仏……?さっきからちょいちょい気になってたんだけどさ…もしかしてデュースって」
「ん?なんだ?」
「その卵は無精卵だから元々ヒヨコにならないのを知らないの?」
流石に違うよね?と思いながら恐る恐る口にすると
デュースは私の言葉を理解し始めると目を見開く。
メインストリートには烏が飛び跳ねるくらいの声量の叫び声が響き渡る。
後に私はこの時の声量は同学年の声量の大きい生徒に負けず劣らずなくらいだったと思った。
***
卵を買い直して新たな知識を知って成長して落ち込むデュースに苦笑しながら食堂の厨房に戻った。
エースが真っ先に気づいて駆け寄ってきてくれる。
トレイ先輩とエースは私たちを待ってる間、タルト生地を作っていてくれたようだ。大分待たせてしまって申し訳ない。
「お、帰ってきた。買い出しにそんな時間かかるなんてなんかあったのか?」
「うん。すみません、トレイ先輩も手伝ってもらってるのに随分と待たせてしまいました。
途中で厄介な先輩に絡まれて卵を割ってしまって」
「それは大変だったな……怪我もないようでよかったよ。ご苦労様」
内容は深く聞かず先輩は優しく出迎えてくれた。デュースが何故か酷く落ち込んでいるのを見て、エースは怪訝な表情を浮かべた。