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The end of the story 【ツイステ】

第5章 Spray パヒューム





「子分……?大丈夫か?」
「?平気だよ」
「でも……」

グリムを撫でているとしばらくしてガラの悪い先輩たちは鶏さんごめんなさいと泣き叫びながら逃げ去っていく。

「今度卵食う時は100回謝ってから食え!ダァホが!!」
「デュース…もう先輩たちいなくなったから……」

どうどうと瞳孔が開いてしまっているデュースの前に立って落ち着かせる。グリムはデュースの啖呵でびくりと跳ねて耳の炎が一瞬大きくなった。

「ハァ、ハァ…………ウッ!!」
「ど、どうしたんだゾ?」
「やってしまった……今度こそ絶対に絶対に優等生になろうと思っていたのに……!」
「優等生……?」

話が読めなくて戸惑いながらデュースを見つめた。
それからデュースは気まずそうに目を逸らしながら昔のことを話してくれた。

ミドルスクール、つまり中学では荒れてて学校サボって喧嘩をしていたこと。
先生の名前は呼び捨て、ワルイ先輩とツルんでいて、髪の毛も脱色してた。
マジカルホイールで峠を攻めたり……
この辺りはよくある不良のドラマのようだと思う。
マジカルホイールってつまりはバイクみたいなものかな。

それから一呼吸おいて言いづらそうに

魔法の使えないやつ相手にマウント取ったりもしていたと話してくれた。


「今時中々見ないくらいのテンプレなワルなんだゾ」
「確かに。まるで昭和のドラマにでも出てきそうなワルだね」
「ショウワ……?」
「あ、いや。こっちの話だから気にしないで」

慌てて首を振るとデュースは続けて話す。


「でも、ある夜……俺に隠れて泣きながら、婆ちゃんに電話してる母さんの姿を見ちまったんだ。
自分の育て方が悪かったんじゃないか、片親なのがよくなかったんじゃないか、って……そんなわけねぇのにな」

なるほど…それで殴った後、あんなに落ち込んでしまったのか。お母さんを安心させるために真面目になろうとして今のデュースがいるってことね。



「だから、名門ナイトレイブンカレッジから迎えの馬車が来た時、すげー喜んでくれた母さんを、今度こそ泣かせないって決めた。俺は今度こそ、母さんが自慢できる優等生になろうって決めたんだ」

なのに…とデュースは目を伏せた。それを聞いてグリムは純粋に不思議になったのか首を傾げて、全部我慢するのが優等生なのか?と呟いた。
その声にデュースはきょとんと首を傾げた。


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