The end of the story 【ツイステ】
第5章 Spray パヒューム
荷物持ちのために来たんだからもう少し持たせてと言うと渋々缶詰二つを渡してくれたくらいだ。
「うちは男手が一人だったからそういうのは僕がやってたんだ」
「……デュースってお母さん想いで優しいね」
「いや……全然、そんなことない。俺は母さんを………」
「デュース?」
暗い顔で俯くのを見て声をかける。何か不味いこと言っちゃったかな…
どうしようと慌ててデュースの顔を覗き込もうとした時だった。
メインストリートの角で曲がろうとしてきた人影に思いっきりぶつかった。
咄嗟に卵を守ろうとしたが、遅かった。そのまま尻餅をつくと共にグシャリと卵の割れる音がした。
まずい……間に合わなかった。
なんとか上の方に積んであった卵は平気だったけど下のパックは直に衝撃を受けたから……
「子分、卵が!!」
「うん……また購買で買い直さないと……」
「ユウ、怪我はないか?」
デュースが差し出してくれた手を掴むとそのまま引っ張り上げてくれる。
見た感じ怪我はないかも。尻餅をついたお尻は痛いけど手も擦りむいてないから。
「大丈夫……ただ卵が…」
「あぁ。6個パックが一つ全滅だな…くっ…袋の中卵だらけだ」
それもこれも全部とぶつかってきた相手をデュースは睨む。
そいつの顔を見た瞬間、私の顔が引き攣った気がした。またコイツらか!!
「ッテェな!どこに目ぇつけて……」
「って……お前らは昼に学食で俺のカルボナーラの卵割った奴らじゃねえか」
あの時のカルボナーラ先輩たちだ。温玉が割れたと言う謎の理由で喧嘩をふっかけてきた奴ら。
結局グリムの鶏肉のグリルに目をつけた当たり屋みたいだと思った。
面倒な人たちにまた目をつけられてしまった。
こういうタイプの人たちって難癖をつけてきて全然いなくならないから面倒なんだ。
「おいおい、またお前らかよ。いい加減にしろよな〜!」
それはこっちのセリフ!もう勘弁して欲しいんだけど。けど…ぶつかった私も悪いし。
周りをよく見てなかったのも事実だ。
さっさと謝って立ち去ってもらおう。トレイ先輩とエースが食堂で待ってるから時間をかけるわけにはいかない。
「すみません、先輩方」
「いや、ユウ。ちょっと待ってくれ。
角から走って突然飛び出してきたのは先輩たちの方です」
ちょ、デュース?