The end of the story 【ツイステ】
第5章 Spray パヒューム
ちょっと申し訳ないけどサムさんの言い分も一理ある。なるほどそういう考え方もあるんだ。
安心して学園長を利用しなさいって言外に言っているみたいだ。
「確かにそうですね…わかりました!それではこれからお世話になります」
「あぁ。もちろんさ!小鬼ちゃん?
それじゃあ、またの起こしをお待ちしてマース!」
BYEと陽気に笑うサムさんに見送られて購買を後にした。
メインストリートを通って校舎の食堂に向かっていく。
「なんだか不思議なお店だったな」
「そうかも。この世界の購買ってみんなあんな感じなの?私の想像してた購買って軽食とか文房具類が売ってるイメージだった」
「いや…僕も寮で過ごすのはここが初めてだから何ともいえないな……」
二人で揃って首を傾げる横でグリムがムスーッと頬を膨らませて不機嫌そうにふすふすと鼻を鳴らす。
あの円盤欲しかったんだゾ、二人のけちんぼと悪態をつくグリムにデュースがグリムの膨らんだ頬を突いた。
「まだ言ってるのか。そもそもあんな物買ったってすぐに使わなくなるのがオチだ
……ユウ。その缶詰の袋重いだろう」
「ん?まぁまぁかな?サムさんは私の性別知ってから持てそうな分量だけ袋に詰めてくれたし」
「いや…監督生には色々と借りがあるからこっちの袋は持つ。それに重たい袋を持つコツがあるんだ」
デュースは私の袋をさらりと持ち上げた。声を上げる暇なくすごく自然な動作だ。デュースってこういう時凄い優しいから共学なら絶対モテただろうにね。でもこの学園って顔面偏差値が本当に異常なくらい高いからモテるのも難しい……のか?
「へぇ…デュースって以外と買い物に慣れてるね。
あ、なら私がその卵の袋を持つね」
「あぁ。母さんが毎度タイムセールでとにかく買い込むからな」
「タイムセール…異世界なのにそこは同じなんだ」
私はあまりお母さんの買い物に付き合うことがなかったからそんなにタイムセールと聞いてその情景が思い浮かぶってほどでもないけど。
そのせいでメチャクチャ袋が重たくて大変だったよとデュースは卵の袋を私に渡してくれる。…って凄い軽いんだけど。デュース…この袋に入ってた缶詰、全部抜いたな?
自分の袋に全部移したのかな。
いつもの様子を見る限り特に意識してのことではないと思うが。